<この体験記を書いた人>
ペンネーム:キジトラ
性別:女性
年齢:46
プロフィール:アラサーでオーストラリアへ移住。夫と2人で旅行を楽しむのが趣味の主婦です。
私の両親(共に76歳)が、10年ほど前に祖父母(すでに他界)が暮らしていた家へ移住した際の話です。
当時の祖父母宅には「一体どこで買ったの?」と思えるような、無名メーカーの家電製品などが多くありました。
もともと、祖父母は誰もが知る日本メーカーの製品ばかりを使用していたのですが、2004年に祖父が亡くなった後くらいから徐々に変化がありました。
原因は地域の人々の「おもいやり」でした。
祖父母が暮らしていた地域は高齢者への支援がとてもよく行き届いており、とくに独居生活者には近隣店舗などからさまざまな物品の提供がありました。
それはとてもありがたかったですし、私の両親はその環境に甘えて、祖母との同居を先延ばしにしていたくらいです。
祖母が独居生活になってからたまに家を訪ねていたのですが、変化に気付いたのはテレビでした。
新しいテレビを買ったと聞いていたのですが、そのテレビ、やたらと耳障りな音(低周波音?)が聞こえてくる低品質なモノでした。
見ると、まったく聞いたことも見たこともないメーカーです。
画質も悪いし、音も悪いし、一体どこで買ったのかと祖母に聞くと、「電気屋さんが持って来てくれた」とのこと。
詳しく聞くと、どうやら近所の電気屋さんが独居の高齢者宅に定期的に電話を掛け、必要なモノを伝えると持って来てくれるのだそうです。
支払いは商品代金のみで、配達料は無料とのこと。
そう聞くと「低品質のモノを高価格で売りつけているのでは?」とうがった見方をしてしまうのですが、そうではないのです。
電気屋さんは本当に善意で、家電製品を買いに行くのが困難な高齢者を支援しているようでした。
必要なモノがあれば家族に知らせるよう伝えてあったのですが、祖母は「わざわざ電話をかけてきてくださるから」と、電気屋さんにお願いしていたようです。
他にもストーブや電気ケトルなど、電気屋さんが持って来てくれたという製品が多くあったのですが、やはりどれも無名メーカー。
音がうるさい、電力使用量が多い、コードが熱くなるなど、低品質な製品ばかりでした。
祖母が毎回「安いモノでいい」と言っていたからなのでしょうが、無名メーカーの製品でなくてもいいのにと少しモヤモヤしました。
ただ、実際に使用していた祖母自身はまったく気にしていませんでした。
しかし、問題は後から入居した両親です。
両親はそれまで使っていた家電製品はすべて処分していたため、そうした低品質な電化製品を使わなければならず、困り果てたようです。
とりわけ、母が一番困っていたのは電話機。
もともと、祖父母の家には子機が2台ついた電話機があり、1台は1階の寝室、もう1台は2階にあったのですが、新しくなっていた電話機はなんと受話器にコードがついたもの。
高齢者向けで、文字盤やボタンは大きく、子機はありません。
両親もすでに若くはないので、電話が鳴ってからいちいち電話機のところまで行くのは本当に不便。
母は「高齢者ほど子機が必要なのに!」と愚痴っていました。
両親が入居してから10年以上が経過した現在、家電製品はすっかり入れ替わってしまいました。
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