俺は年寄りじゃない!「若い」が自慢だった父がグループホームを拒否、暴れて精神科へ

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ペンネーム:一人娘
性別:女
年齢: 53
プロフィール:高校卒業後、実家を離れて数十年。高校生の一人息子を育てるシングルマザーです。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

母がガンの手術をするために入院したときのことです。要介護度1の軽い認知症を患う、もうすぐ80歳になろうという父の生活をどうするか、早急に考える必要が出てきました。

父は普通の会話は全く問題なくジョークさえ言います。体のどこも悪くないため、動きも軽く一見普通、いえ、年より若く見えます。そのためいろいろな人から「若い」「元気で羨ましい」「若々しい」と言われ本人もその気になっていました。

が、中身はそれ相応のお年寄り、記憶力はなく何でもすぐに忘れてしまいます。車の運転も事故を考えると怖くてさせられません。
そこで親戚やご近所、いろいろな方のさまざまな意見を受け、母がいない間、日中だけ父をグループホームに行かせることにしました。

役所勤めだった父は人一倍プライドが高く、他人から言われた「若々しくて羨ましい」を真に受けていたため、「グループホームに行ったらボケたと思われる」「俺はまだそんな年寄りじゃない」と頑として行こうとしません。そんな父をグループホームに行かせるのは簡単なことではなく、ホームの職員も私もヘトヘトになり、最後はホームから通所を断られました。

ホーム通いは無理になり、長期連泊可能なグループホームに片っ端からお願いし、やっと入所させてもらったところ、すぐに「家に帰る」「なんでこんな所にいなきゃならないんだ!」と職員に暴力をふるい、出入り口の自動ドアを蹴破って壊し、屈強な男性職員が父を監視していなければならない事態となってしまいました。

無理やり年寄りばかりのグループホームに連れて行ったから暴れたのだろうと思っていましたが、精神科の先生から「暴れるのは認知症の症状のひとつ」と言われ納得しました。確かに昔の父であれば人に危害を加え、物を壊してまで自分の意思を押し通すなどということは行わなかったはずです。

精神科の先生が処方してくれた薬でも精神状態が落ち着かず「これ以上面倒を見るのは無理、精神状態が安定しないと入所は断る」とグループホームから預かりを断られてしまいました。

私は早急に精神科の病院を探し、暴れる父は即日入院となりました。

白衣を着た医師と制服の看護師を見た父はグループホームのような癇癪を起さず、拍子抜けするほど、すんなり入院を受け入れました。グループホームは恥ずかしくても、入院なら恥ずかしくないのでしょう。

父に会いに行くたび、窓には鉄格子がはまり、入口は何重ものロックで管理されいる病棟を見て「なぜこんな所に父を入れなければならなかったのか」と悲しくなりましたが、そのつど「私は父と離れて暮らし、フルタイムで働いていて、父の面倒は見られない。ここしか受け入れてくれる所がなかったのだ」と、私は自分に言い訳して泣いていました。

入院中の父は投薬が効いたのか、入院しているのが年寄りばかりではないからか、暴れることも怒ることもなく入院中の人達と楽しそうに生活していました。そこでの父を見て、近々退院できるかも、と思っていましたが、父の入院は1年の長期にわたりました。

やっと精神科を退院した父ですが認知症が進み、母が一人で面倒を見られる状態ではなくなっていたため、退院と同時にグループホームに入所しました。

投薬で精神的に落ち着いたのか、認知症が進んで山のように高かったプライドが低くなったのかはわかりませんが、昔暴れたことが嘘のように今は落ち着いて生活しています。
父は80歳を過ぎても「若くて颯爽とした自分」でないと受け入れられなかったのでしょうか。年を取るのは本当に難しいことですなのね。

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