こんにちは山田あしゅらです。
義両親の在宅介護の様子を嫁の目線で綴った ブログ『13番さんのあな―介護家庭の日常―(現・13番さんのつぼ)』。
ここに書いてきた13年間の記録をもとに今の気持ちを織り交ぜつつ、改めて当時のことを振り返ってみようと思います。
【前回】深夜3時、認知症の義母が「覚醒モード」に!おしゃべり暴走が止まらない...
夜中に始まった義母のおしゃべり暴走。
似たような状況はこれまで何度も見られました。
しかしそのきっかけや原因は何なのか?
飲んだ薬が合わなかったのではないか? とか、生活リズムが変わったせいじゃないか? とか、後付けで「そう言えば...」と思い当たることはあっても、はっきりしたことは分からないのです。
まだ義母と辛うじて意思の疎通が取れていた頃にも、やはり夜中、おしゃべり暴走が出現したのですが
その時は私たちに向かって何度も謝りながらしゃべり続けていました。
義母もしゃべりたくてしゃべっているのではないのでしょう。
何かに操られるように口が勝手に動き、自分の意思では止められない...
そんな感じを受けました。
今回も大声の発散は止まる気配がありません。
半ばあきらめの境地で様子を見ていると
ベッドから起き上がろうと義母がもがき始めたのです。
自力で体を起こすことが難しくなっているのに「トイレに行かなきゃ!」と、ベッドの上でバタバタ焦った様子です。
普段は便意尿意を伝えることはほとんどない義母ですが『覚醒スイッチ』が入るとこちらのスイッチも不思議と『パチっ』と入ることがあります。
そうなると何が何でもトイレへ行かなきゃ収まりません。
「こりゃあトイレまで行かないと鎮まらないぞ。」と無理を覚悟に連れて行こうとしたのですが、そこからがまぁ大変。
起こすのも一苦労。手引きでトイレに連れて行くのも一苦労となりました。
歩けないはずの義母が考えられない速さでトイレへ行けちゃったのは数カ月前。
日常動作の衰えは思う以上に進んでおり、さすがの『覚醒スイッチ』でも動作スイッチまで『パチっ』と入れる効力はなかったようです。
しかもヒートアップしたおしゃべりは介助している間も止みません。
話し込むたび、ただでさえおぼつかない歩行はより一層前に進まなくなります。
転ばさないよう、必死になって手引きしていたので気がつきませんでしたが、義母はずぅっと私に向かって謝っていたような...。
時間はかかったものの何とかトイレにたどり着き、便座に座ることが出来た義母。
しかし、かつては和式トイレじゃないと用が足せなかったこともついでに思い出しちゃったのか「こぼれちゃう。こぼれちゃう」と言いながら立ち上がろうとしたりモゾモゾしたり。
どうも落ち着きません。
そして肝心のオシッコは出そうで出ない...。
1月、しんしん冷える夜中のトイレ。
温風ヒーターを持ち込みつつ長期戦に備えていると...
と、それまで独り言のようなおしゃべりだったのが私に向かって話しかけてきたのです。
既に会話らしい会話も成り立たなくなっていただけにこれには少々びっくり。
しかし、次に義母の口から出たのはより衝撃的な言葉でした。
約8年前に認知症の診断がおり、じんわりじんわり進んでいた症状が3年前の骨折によって一気に加速してからは、意識も記憶も感情もどこか遠くに置いてきてしまったと思っていた私たち。
もちろん義母に認知症の病識などカケラもないと思っていました。
義母に伝わることはないとタカをくくり
訪看さんとそばでビミョーな会話を交わしていたこともありましたっけ(汗)
認知症ってただ全てを『消し去ってしまう』病気ではなく『奥に奥にしまい込み』出し方が分からなくなってしまう病気なんじゃないか。
そんなことを思わせる出来事でした。
粘ったけれどオシッコは全然出ません。
風邪を引くといけないからと再び引きずられるようにベッドへ戻った義母でしたが尚も『覚醒』は継続中。
結局おしゃべり暴走第2戦は朝まで止まりませんでした。
この持続力は一体どこにしまい込まれているのでしょう?
付き合えば付き合うほど不思議な認知症です。
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