<この体験記を書いた人>
ペンネーム:さんた
性別:女性
年齢:46
プロフィール:子育て中の主婦です。
8年前、娘は小学5年生でした。
毎年冬になると、この地域の小学校では持久走がはじまります。
娘が通う小学校では、2月に行われる持久走大会に向けて毎朝練習が行われていました。
娘の担任は子どもたちの可能性をできるだけ伸ばそうとする、優しいけれど厳しい先生でした。
保護者から見れば先生の厳しさは子どもたちを思ってのことだと分かるのですが、先生の優しさゆえの厳しさを怖いと思う子どももいたようです。
「面白いけど怒ると怖い先生」
それが先生に対する子どもたちの評価だったと思います。
朝の持久走の練習は学校全体で行われます。
5分間の音楽が流れ、その間は校庭を走り続ける練習です。
このときの先生はとても厳しく、ふざけていたり、手を抜いてゆっくり走っていたりすると叱られます。
ほとんどの先生は走る子どもを見守るだけですが、娘の担任は子どもたちが走る横で先生も一緒に走り、大きな声で指導します。
「顎を引け!」
「最後まで走り抜け!」
「がんばれ!」
大きな声で子どもたちを励まし続けるので、子どもたちも5分の間、少しピリッとした雰囲気で、頬を赤くして一生懸命に走ります。
走るのが苦手なうちの娘はこの朝の練習を嫌っていて、毎朝「いやだなぁ、5分間、走り切れるかなぁ...」と言いながら登校していました。
保護者の見学が許可されていたので、私は娘を励ますためによく見学に行っていました。
私が見学に行っていたある日、3歳くらいのお子さんをつれた保護者の方が見学に来ていました。
その日も子どもたちは頬を真っ赤にしながら走っていました。
なかなか辛そうだなぁ...と一生懸命に走る子どもたちの様子を見ていると、その3歳くらいのお子さんが小学生の横を少し離れて走り始めました。
「止まるな! がんばれ!」
いつもの通り大声で走る先生と、ピリッとした空気の中をがんばって走る5年生たち。
小さなお子さんはその横をトコトコとかわいらしく走っています。
そして、先生が子どもたちに「手を振って走れ!」と大声で指導するのを聞いて、お子さんは見学の保護者のほうへ笑顔で手を振りながら走り始めたのです。
真っ赤な顔で必死に走っている小学生に混ざって、笑顔で手を振りながらうれしそうに走る3歳児がかわいらしくて、この日ばかりは先生も子どもたちもみんな大笑い!
練習どころではなくなってしまいました。
みんなとっても癒された朝で、今でも覚えています。
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