20代で結婚、2男1女を授かり、主婦として暮らしてきた中道あんさん。でも50代になると、夫との別居、女性としての身体の変化、母の介護...と、立て続けに「人生の転機」が訪れます。そんな激動の中で見つけた「50代からの人生を前向きに過ごすためのヒント」。
「あぁ、もう今日は料理したくない...」という苦痛な日。それでも奮起して料理を作ったのに、「今日はショボ飯か...」と言われてしまった中道あんさん。ある日、海外の動画を見て方針を変更! それは...
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私は食いしん坊がゆえ「美味しく食べたい!」という欲求が常にあって料理にさほど苦痛を感じたことがありません。
玉ねぎのみじん切りやキャベツの千切りが面倒くさくてたまらないというお料理嫌いの友人の嘆きに対して、逆に無心になれてストレス発散になるんだけどと言いたい。
仕事や介護のストレスの時には、コールスローサラダをよく作っていました。
トントンとリズミカルに刻む春キャベツ
包丁とまな板のハーモニーが相まって気持ちが落ち着いてくるのですから。
まるでセラピーのようだと思っていたほどです。
そういえばずいぶん長くコールスローサラダを作っていないのは、ストレスを感じることがほとんどなくなったからではないかと思います。
また、好きなことに時間を割きたいので、夕飯を作る時間はどんどん短くなり、30分くらいになりました。
それでも、どうしても料理するのが嫌な日があります。
そういう時は外食することにしていたのですが、お店に行くのすら面倒臭くなってしまう。
それは、大抵自分のやりたいことに、もう少し時間をかけたいから。
食事のために時間を費やしたくないという気持ちが強い日です。
私は、朝食を摂らないので、正午にはしっかり目に昼食を食べることにしています。
それから6時間ほどしたら夕飯の支度をするのですが、さほどお腹は空いていないのです。
でも長年の習慣で、夜は栄養のあるものをキチンと食べなければいけないと思いこんでいるところがあります。
なので夕方になると、何を作ろうかとチラチラと気になりだすのです。
それがストレス。
「あぁ、もう今日は料理したくない...」という苦痛な日、わが家の定番「ショボ飯」登場。
鮭の塩焼き、だし巻き卵、具沢山みそ汁、納豆です。
これを食卓に上げたとき息子が「今日はショボ飯か...」といったことがきっかけでそう呼ばれています。
ただ、このメニューは、日本のザ・食卓といった感じで、見栄えはしませんが美味しい。
なので、ショボいと言いつつも喜ぶ息子。
でもこのネーミングがいかにも「お母さん、サボったやろ」と言われているみたいで、カチンときます。
料理したくないのに作ったことは、感じてはもらえない。
ならば、いっそ作らないでおこうと思いました。
本日閉店ガラガラ、と台所に立つのをやめる。
そうなったのも、YouTubeで海外暮らしを興味本位で見たことがきっかけです。
スイスのとある家では、お昼にガスを使って調理をしたりすると、夜は火を使った料理をしないのだそう。
では一体何を食べるのかというと、パンや果物、チーズ、ハムなどを食卓に並べて家族が各々好きなものを取っていくのだとか。
人参丸ごとをポリポリとかじる年頃の娘さん。
ハムを食卓テーブルの上で切って食べる人もいます。
オレンジは食べたい人が自分の分だけ剥いていました。
パンはなんとテーブルに直置きで、お皿は各自1枚のみ。
家族揃って、わいわいガヤガヤ言いながら時間をかけて食べて、そのあとはリビングで各々好きなように過ごす。
調理時間ゼロ。
食器洗いの負担は最小限。
その光景に、みすぼらしさやひもじさは微塵も感じませんでした。
目から鱗が落ちる思いがしました。
日本人は料理をしすぎる...。
忙しいなか、手間をかけ時間をかけて料理しても、子どもは黙々と口に運び一瞬で食べ終わる。
私がかけたこの労力は一体なんだったのかと空しくなったことは一度や二度ではありません。
それでも、毎日作り続けていたのは、食育と健康を考え、それが自分の仕事だと思っていたからです。
でも、もうそんなに一生懸命に作らなくてもいいんじゃないでしょうか。
今のお母さんは仕事をもっていて忙しいのだから。
60歳手前の私でさえも、一番欲しいのは「時間」だと感じています。
だから食卓を囲む全員がハッピーになる方法を何なのかを考えてみる。
そして実際にやってみればいいと思います。
ちなみに、私は息子のために夕飯を作ることはありません。
私が食べたいものを作るついでに息子の分も作るというスタンスです。
なので、チーズやハムを食べられない息子は、きっとカップラーメンを喜んで食べていることでしょう。
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