<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ひろえもん
性別:女
年齢:57
プロフィール:3匹の猫と夫と海辺の街で暮らす普通の関西人です。
母が50代の頃、いっこうに子どもができない私たち夫婦を心配して「あんたらまさかネックレス(セックスレス)ちゃうやろね?」と言ったことがありました。
また、外国に行く私に「コレステロール(たぶんコレクトコール)で電話してや!」などとも。
そうした言い間違えをバカにしていた私にも、とうとうそんな年頃がやって来ました。
間違いに気がつかなくなったのは10年ほど前からです。
当時、40代後半だった私はイギリスに3週間留学し、趣味で収集しているものを授業で発表することになりました。
私が『ピンク・パンサー』のグッズをコレクションしている話をすると、学友たちに「いつから、なんのために収集するようになったか?」「きっかけは?」など、根掘り葉掘り英語で質問されました。
また「オ〜!」といささかオーバーな返事が返ってきたので、「何で?」と不振に思いました。
それにみなさん、ちょっと薄ら笑いすら浮かべていたのです。
「アラフィフの『ピンク・パンサー』ってそんなに面白い?」
不思議に感じていたのですが、ついに「今日は履いてる?」と質問がとんだところで「はあ?」となり、やっと私は重大な言い間違いに気づきました。
『ピンク・パンサー』は英語では『ピアンク・パンスアー』と発音します。
ファンになった頃、フランスで暮らしていた私は、『ピンク・パンサー』のフランス語読みの『パンテー・ローズ』という発音に慣れていたので、英語で『ピンク・パンテー』と言っていたのです。
そのため、学友たちには「ピンクのパンティを集めるのが趣味」と理解されてたようです。
つまり、学友たちはずっと、大尻の中年女性がピンクのパンティを履いて喜んでいる姿を想像していたわけで...。
何より恥ずかしかったのは、私がそれに気づきもせずにいたことです。
50代になってからは日本語でも言い間違いがありました。
「昔のパリは治安が悪くて、『身ぐるみ』剥がされてセーヌに投げ捨てられるなんてこともざらにあったらしいよ!」
そう言ったつもりだったのですが、なぜか大笑いされました。
「なんで笑うの?」と問いただすと...。
「今、身ぐるみ剥がされてのくだり、『身ぐるみ』が『着ぐるみ』になってましたよ! なんかクマの着ぐるみ想像しちゃって!」
そういう感じで自分では気づかない言い間違いをするようになりました。
50代の知人男性もフランスの片田舎の八百屋で「ニンジンください」と言うと、若い女子店員が「キャハハ!」と笑って店の奥に逃げて行ったそうです。
また、別の女性が出てきても同じようにキャッキャ笑いながらバックヤードに逃げ込んでしまったと。
しばらくして、よく考えてみるとフランス語のニンジンの『キャロット』ではなくパンティの『キュロット』と発音し「パンティをくれ!」と言ってたことに気づいたそうです。
店先で「パンティくれ!」なんて、よく警察に通報されなかったなと思いました。
加齢による言い間違いは、世界共通なのでしょう。
最近では「うんうんそーよね」と話しながら、鞄からリップクリームを出して口に塗っていると「それ、『スティックのり』ちゃいます⁉」と指摘されるまで気づかず、唇がガサガサになってしまったことがありました。
職業上、出先で書類の封筒を糊付けするためにスティックのりを常に携行していたことを忘れ、リップと間違えて塗ってしまったのです。
間違いにとことん気付かなくなる年齢はたいていの人にやってくるでしょう。
若い方には明快な頭脳を持っているうちに脳トレに励んでほしいと思います。
関連の体験記:「それは派手すぎ」ダイエットに成功した45歳の私がウキウキで着た服に、正直すぎる家族の反応
関連の体験記:外見だけ変わるなんてずるい! 50歳になってもウキウキで「懐かしの繁華街」に行った結果...
関連の体験記:たくさん歩いた3日後...足に激痛!? ああ、私も「疲れが取れない年代」の仲間入り
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。