<この体験記を書いた人>
ペンネーム:くあら
性別:女
年齢:53
プロフィール:コロナ禍が終わったらしたいこといっぱいです!
5年ほど前、夫婦で山梨へ旅行したときのことです。
直前に予約したホテルは、ビジネスホテル並みの値段でありながら温泉付き。
かなり古いホテルでしたが、綺麗にメンテナンスがされていました。
しかし、部屋の鍵がカードキーではなく差し込み式の鍵だったので、1室につき1つしかもらえませんでした。
部屋に到着し、荷物を置くと、さっそく温泉を楽しみに行くことに。
夫(当時40代)のほうが先に上がるであろうからと、鍵は夫が持つことになりました。
部屋番号を確認して部屋をあとにし、エレベーターで温泉のある1階に降りました。
そこで夫と分かれて、存分に温泉を楽しみました。
その後、もう夫は戻っている頃だろうと部屋に戻ることにしたのです。
特に何も考えず、記憶していた階で降りたのですが、エレベーターホールに立ったとき、微かな違和感を覚えたのです。
「あれ? この階じゃなかったかな」
戸惑いながらも記憶していた部屋番号の部屋の前まで歩いて行きました。
しんと静まった絨毯敷きの廊下を進んでいると、どうも妙な気持ちになったのです。
「何か違う、何かが違う」
自分の部屋番号だと前に立ち、インターホンに手を伸ばしたのですが、なぜか押せません。
小さな声でドアに向かって「パパ、パパ」と夫に呼びかけたつもりですが、返答もなく、薄ら寒さを感じながら、足早にエレベーターでフロントに降りました。
「すみません、部屋番号を忘れてしまったのですが...」
そう言って名前を告げると、フロントの方はにこやかに教えてくれました。
その番号はわたしの記憶していたものと同じです。
首を傾げながらもエレベーターで先ほどの階で降りました。
けれど、明らかに先ほどと雰囲気が違うのです。
「そうそう! これこれ!」
心なしか、静かな廊下の照明も明るく感じ、私の記憶していた、フロントでも教えてもらった部屋のインターホンを迷わず押すと、当たり前のように夫がドアを開けてくれました。
夫は10分以上前に戻っていたそうです。
勢い込んで先ほどの不思議な体験を夫に話しました。
「パパ、パパって呼んだの、聞こえなかった?」
「いや、何も」
「そっかー...」
もし、あのとき違和感を感じながらもインターホンを押していたら...想像しながら軽く身震いしてしまいました。
今も思い出すと頭にもやがかかったような、薄気味悪い気持ちになります。
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