<この体験記を書いた人>
ペンネーム:濃姫
性別:女
年齢:44
プロフィール:夫と子ども2人の4人家族の兼業主婦です。夫の実家で義父母と半同居生活をしています。
私は子どもの頃から、なぜか「死」というものが怖くてたまりませんでした。
夜中に目が覚めて真っ暗な部屋で、「死後の世界」はこんな風に暗闇なのかと思うと怖くて怖くて両親の寝室に駆け込んだり、急に両親が死んでいたらと不安になり、寝ている父と母の様子を見に行ったりしていました。
大人になってからは、幼少の頃のように過敏ではなくなりましたが、「死」への恐怖は人より強かったと思います。
しかし、3年前に大好きな父(享年77歳)が亡くなったことで、私は「死」に対してのイメージが変わったのです。
父は62歳のときに突然、脊髄血管障害で下半身麻痺の状態となってしまいました。
15年間の闘病生活の中で、何度か危険な状態に陥ったこともあるため、私は父が亡くなる覚悟は常に持っていたつもりでした。
ですが3年前の1月14日。
父が救急車で運ばれたと連絡を受け病院に駆けつけると、担当医から「長くて余命3カ月」と言われたときは、ショックで涙が止まらなかったことを覚えています。
その日から2週間後に父は亡くなりましたが、その2週間の間、私は父が真っ暗な死後の世界に行ってしまうことが頭から離れず、怖くて可哀想で仕方がありませんでした。
1月28日の朝、兄から父が危ないから、母を連れて病院に来るようにと連絡があり、私はちょうど学校が休みで家にいた娘と母を連れて、父の病室に駆け込みました。
父は話すことはできませんでしたが、母が父の手を握り、声をかけると目を開けて私たちの方を見ました。
そして、母の方を見ながら静かに息を引き取ったのです。
私は父の瞳孔が開き、顔色が変わっていく様子を見ている間、ずっと父が死後の世界に行ってしまうと恐怖を感じ「パパ行かないで戻ってきて」と祈っていました。
すると突然耳元で「これから、また好きなバイクに乗れるよ!」と父の声が聞こえてきたので、とても驚きました。
そして、通夜...。
お坊様がお経を唱えて下さっているとき、父の棺の方を見ていると、突然棺を覆うようにピンクの光が見えました。
目の錯覚かと思っていましたが、兄も娘も息子も同じようなことを言っていたので、きっとあの光は父だったのかなと...。
通夜の帰りの車の中で、病室で聞いた父の声と、通夜での光景を思い出しました。
父とはもう会うことや、話すことはできないけれど、父が私の恐怖心を拭いさるためにしてくれたことのような気がして、とても暖かい気持ちになりました。
この経験のおかげで死に対する過度な恐怖心もなくなりました。
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