<この体験記を書いた人>
ペンネーム:konohana
性別:女
年齢:54
プロフィール:主婦です。56歳夫と21歳大学生の息子と三人暮らし。家事とパートにあたふたしています。
前の職場で上司にパワハラまがいのことを言われたのを機に仕事を辞めました。
「あなたは落ち着きがない。仕事ができない。普通でない」
上司にそう言われてすっかり自分の能力に自信をなくしてしまいました。
自信を回復するには、自分にあった仕事を探すしかありません。
新しい職場は、小中学生の学習教室で、仕事内容は採点。
落ち着いて座って黙々とやる仕事でした。
ここではうまくやりたいと祈る気持ちの初出勤日、教室には教室長と、若い細身の女性が教室のエプロンをつけて立っていました。
教室長は40代女性で、やり手らしくきびきびしています。
「職場では、お互い皆敬語で話すこと。高校生だけどM先生は、この教室に小学生から通った学習者だから、教材は一通り勉強しています。分からないことがあったら、なんでも聞いてください。あと、生徒がいるときは私語厳禁」
むむっ! 高校生?
心の中で驚きが広がりました。
お互い「よろしくお願いします」のあいさつを交わしました。
M先生は笑顔はありませんが、いろいろなことを教えてくれます。
カバンのしまい場所、勤怠表のつけ方。
「生徒の机のアルコール消毒の仕方を教えます」と言われ、「はい!」とついていきました。
ティッシュを慣れた手つきでささっと2枚取って、ささっと拭く。
とても手早いです。
生徒たちがやってきて、採点が始まりました。
彼女の採点は早いです。
採点自体もですが、答案を裏返すとき、点数を書くとき、すべての動きが早い。
これぞ仕事のできる人なんだろうなと思いました。
次に、どうも少し問題のある生徒さんが来るらしく、M先生から「あの子の言うことは無視してください」とクールに言われました。
「無視してください」かあ...。
違和感を覚えました。
男の子が来ると「ああ、もうやだ~、やりたくない~」など騒ぎ出しましたが、私は無視しました。
彼女は適度に返事をしてやり過ごしています。
このように初日が終わりましたが、M先生のことが頭から離れずもやもやしていました。
あのそっけなさ、動作の機敏さ、冷たく感じるような態度...。
短い言葉で伝えるにしても「無視してください」はよくないのでは?
せめて「対応しないでください」じゃない?
何度も考えていたのですが、ふと、「もしかしたら高校生だから...?」と思いました。
彼女はきっとまだ未熟なのです。
思えば、うちの大学生の息子も、最近でこそ話しが通じるようになりましたが、高校生の頃は口数が多かったとはいえなかったですし、独りよがりな考えを持っていました。
この年頃、見た目こそ大人っぽいですが、コミュニケーション能力も大人と同じわけはありません。
自分のことで精一杯で、人への優しさをもつ十分な余裕はないでしょう。
いずれにしろ、職場で会った初めての先輩なので、よくある同僚としての優しさ、人間味まで期待してしまったのがよくなかったのかもしれません。
いい年なのに高校生に教わるなんてと思ってしまった自分を情けなくも感じました。
また、彼女の仕事の仕方は私には真似できないと劣等感を感じていたこと、さらに、前の職場で感じた自分へのがっかり感、そして「ここでもまたか」という思いすべてが混ぜこぜに...。
そうしたものが、M先生へのモヤモヤの元になっていたのだと思います。
でも、仕事では先輩でも、生きてきた経験は比べようがありません。
そこは堂々としておいて、いくら先輩といえども高校生相手に変に批判したり期待したりがっかりするのではなく、大きな目で見守るくらいの気持ちでいようと思いました。
そして実際彼女は仕事ができるんですし、その点は高校生だって関係ありません。
尊敬の気持ちを持たなくてはと思ったのでした。
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