<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ぴっぴ
性別:女
年齢:43
プロフィール:小学生の子供が二人いるパート主婦です。
上の子(小学校高学年)が幼稚園年中だった、5年ほど前の話です。
通っていた幼稚園は縦割り学級で、一つのクラスに年少、年中、年長さんがいました。
毎年学年度末になると、年中のお母様方が音頭を取って開催する、年長のお母様を送るランチ会が恒例行事だったのですが、これがなかなか大変なものでした。
気軽なランチとは違い、いいレストランを貸し切りにし、席次表、席札を用意、スピーチ、お手紙朗読、そして年長のお母さまへはお土産があるという、ちょっとした披露宴のようなものでした。
しかも事前にアンケートを取り、全員が必ず出席できる日に開催するのです。
たとえ休みたくても、ここまでみなさんが予定を合わせたランチ会だと、欠席するのはなかなか困難なもの。
働いているお母さまは有給をとって参加しなければならず、行きたくないと言っている人もチラホラいました。
しかし、そこそこ古い幼稚園だったため、何10年も続くこのランチ会はもはや伝統行事。
なかなか中止にしようと声を上げる勇者もいません。
我々の代が年中になった晩秋のことです。
ランチ会の準備で話し合うため降園時間、年中のお母さま方で固まっていると、年長のお母様のAさん(40代前半)が声を掛けてきました。
「今年度のランチ会なんだけど、みなさん忙しくて集まるのも難しいから、なしにしませんか?」
思ってもいなかった声掛けに、年中のママたちはびっくり!
ただちに緊急会議が行われました(立ち話ですが...)。
やはり、送られる方、主役である年長さんがやらなくていいというのであれば、やらない方がいいという意見が多数。
私もそう思いました。
今年度からランチ会がなくなるんだ、よかったと思って安心していた後日、また予想外なことが起こったのです。
別の年長のお母様Bさん(怖いと有名な30代後半の方)が我々のところにいらっしゃいました。
そこで長々と話をされていたのですが、要約するとなんと「ランチ会をやらないとかありえない」と言っていたのです。
んん? どっちがいいの!?
どうやら優しいAさんグループはやらない派、ちょっとコワモテ(?)のBさんグループはやってほしい派のようなのです。
年長の意見を統一してほしいと思う年中陣。
人数的には、Aさんグループの方がBさんグループより多いのですが、ここでやらないとBさんたちからは、ずっとぐちぐち文句を言われそうです。
おそらく、ここでランチ会を止めると決めれば、英断だと多くのお母さま方にありがたがられるでしょう。
ですが、声の大きいBさんからの攻撃が面倒...。
みんな、どうすればいいのか考えましたが、結論は「ランチ会はやる」でした。
Bさんへの恐怖もありましたが、「うちの代でランチ会を中止するのはちょっと...」という空気が強くありました。
みんな何十年も続くランチ会を、自分たちで終わらせる勇気がなかったのです...。
Aさんにやることを伝えると、ちょっと残念そうな顔をしていましたが「年中のお母さま方が決めていいお話なので、気にしないで」とのこと。
ランチ会もつつがなく終わりました。
伝統を断つというのはなかなか難しいものだなと感じたできごとです。
あれから5年たちますが、ランチ会はもちろん毎年開催され続けています。
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