<この体験記を書いた人>
ペンネーム:さくらみちこ
性別:54
年齢:女
プロフィール:更年期に記憶力まで奪われ、夫に悲しい思いをさせてしまいました。
更年期の症状の一つに忘れっぽくなるというのがあるそうなのですが、私はつい先日それで大失敗してしまいました。
時は2021年の3月、58歳の夫が軽い腰痛を訴えてきました。
夫はもともと腰痛持ち。
動けないほどの痛みは出なくて、日常生活もなんとか普段通りにできるのですが、無理して悪化させると鈍い痛みが長く長く続くタイプです。
そのため腰痛が出始めたら無理は禁物。
重たい物は持たない、急に動かない、外出はほどほどにするなど、こじらせない生活を送ることにしています。
そんなわけで、この時も「無理せずゆっくり過ごそうね」と伝え、スローペースを心がけ、寝る前には湿布を貼って回復をサポートしました。
と、そこまですれば夫の腰痛を忘れるはずありません。
いつもの私なら...。
しかし、更年期の忘れっぽさは侮れなかった!
なんと、一晩寝たら夫の腰痛をきれいさっぱり忘れていたのです。
そして夫の悲劇の一日がスタートしました。
その日は休日。
元気いっぱいの孫たちが「みんなで遊びに行きたい~」と大騒ぎしていました。
普段の私なら「じいじが行けないからまた今度ね」と、なだめるところなのですが、夫の腰痛をすっかり忘れてしまっている私は一緒になって大張り切り。
「行こう、行こう、遊びに行こう~」
そう言ってしまったのでした。
今思えば、この時の夫は「ん?」という顔をしていたようにも思うのですが、私はそれを気に止めることも、夫の腰痛に気づくこともありませんでした。
そして、娘も孫も夫の腰痛事情を知りませんし、夫は夫で私が忘れているなんてまったく考えいなかったそう。
そんな事情でだれもストップをかけません。
話はどんどん進み、行き先が決定。
県北の公園に向かうことになりました。
その公園の広大な敷地内にはアスレチックや芝生滑りがあるため、コロナ禍の密も避けれそう、孫たちの運動不足の解消にも役立つだろうと決めたのでした。
そうなるとワクワクが止まりません。
夫以外は...。
すぐさま準備に取り掛かり、ほどなく出発。
1時間ちょっとで目的地に到着しました。
広い公園をどんどん進み、目的地のアスレチックに着き、さっそく遊びのスタートです。
しかし、夫はベンチに腰掛けスマホを触り始めました。
いつもなら積極的に遊びに参加して、孫たちと大いに楽しむはずなのに。
「あれれ、どうした?」と思いつつ、そこでも私は夫の腰痛に気づきません。
「気になるニュースでもあるの?」とトンチンカンな解釈で勝手に納得し「その内こっちにくるだろう」くらいに思っていたのです。
しかし、待てど暮らせど夫は遊びに参加しません。
そりゃ当然ですよね、腰が痛いんですから。
しかし、そこでもまだ夫の腰痛を思い出さない私は、あろうことか「体調でも悪いの?」と夫に問いかけたのでした。
すると、夫は目を真ん丸にして沈黙。
その後「腰が...」と悲しそうに訴えてきました。
ここでようやく「そうだった! 夫は腰が痛かったんだ!」と前日の出来事を思い出したのです。
遅すぎますよね、ホントに。
しかし今さらどうすることもできません。
「ホントにゴメン。腰痛なのに...」
「俺はここでゆっくりしとくね」
平謝りの私に、苦笑いで答える夫という悲しい光景が私の記憶に刻まれたのでした。
後に聞いた話によると、夫は車の中、公園の移動、ベンチで過ごす間「神様、どうか俺の腰痛を悪化させないでください」と心のなかでつぶやいていたそう。
可哀そうなことをしてしまいました...。
更年期の忘れっぽさは信じられないレベルで私を襲います。
これからどう対策するの? 頭の痛い宿題ができてしまいました。
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