<この体験記を書いた人>
ペンネーム:むらまゆ
性別:女
年齢:44
プロフィール:専業主婦。5年前まで21年間勤めていました。息子は17歳の高校生、夫は46歳の公務員です。夫とは職場結婚です。
つい最近、役職付きになった夫がぽつりと言いました。
「当時のあなたのような人が部下にいるけど、僕はあんなこと1ミリも思わないなあ。あの課長の真意をはかりかねるよ」
夫が言う「あの人」とは、今から14年前、私が30歳だった時の先輩(30代後半男性)のことです。
当時私はその先輩から高圧的な指示を受け、できないと全員の前でなじられていました。
自覚はなかったのですが、周りに言わせるとまさに「いじめ」という状態だったそうです。
その頃から私の体に異変が表れ始めました。
感情が消える、一睡もできない、ごはんの味がしない、深夜突然泣き出す、手が震えて字が書けない、そんなことが2週間以上続きました。
今ならうつ病の症状だとすぐ分かります。
ただ、私は結婚前の22歳の時に一度目の自殺未遂をしたことがありました。
そして、その時に実母(当時44歳)から言われた言葉が、その頃の私の行動を制限していたのです。
「うつ病はなまけ病と言うんだよ。この世にうつ病というのは存在しない」
当時の私はそんな言葉を真に受けていて、「私はただなまけたいからこんな状態になっているんだ」と思っていました。
一生懸命どうにかしようとしては、できない自分を自分自身でなじっていました。
しかし夫の反応は違いました。
「もう病院に行こう。明日僕がついていくから」
そう言われ翌日行ったところ「うつ病と適応障害」という病名がつきました。
その後職場と話し合い、数週間休んで病状が治まったので仕事復帰しましたが、地獄でした。
私をいじめた先輩は私の机を両手でたたき、罵詈雑言を浴びせたのです。
「てめえのせいで仕事が増えた。できそこないはいらねえ。さっさとうせろ!」
係長(当時40代前半、男性)からは「残念だよ」、課長(当時50代後半、男性)からは「新しい人を入れたいから、退職届を書いて子育てに専念しよう」。
上司の誰もが私をかばいませんでした。
そしてこの課長は、別部署の夫の職場(夫とは職場結婚です)に突然アポなしで現れ、こういったそうです。
「仕事を今すぐ辞めてほしい。あなたが養えばいいではないですか」
夫はもちろん反論しました。
「なぜあなたに指示されないといけないのか分かりません」
「うつ病なら療養させればいい。子育てに専念すればいいでしょう」
「子育てについてあなたにとやかく言われる筋合いはありません」
「甲斐性なしの旦那を持つと大変ですね」
課長は悪態だけ吐いて帰って行ったそうです。
「もう君の仕事の関係者が来ても無視するから」
夫は怒りに震えながら帰ってきて、私にそう言いました。
夫には申し訳ない、嫌な思いをさせてしまったと謝罪しました。
その後、私は課長に呼び出されました。
そこで夫に言った内容と同じ事を言われたので、私も言い返しました。
「男の人の場合でも同じ事を言いますか? 奥さんに養ってもらえばいい、奥さんは甲斐性がない、あなたは子育てに専念しろと?」
課長は黙ってしまいましたが、謝りませんでした。
その後私は異動する事になりました。
ただ、異動先が同じビルの別の部署だったので、例の先輩に出くわすとつばを吐かれ、「この給料泥棒が!」という暴言を吐かれ続けました。
私は現在も治療を続けています。
睡眠薬がないと全く眠ることができず、今も人が怖いです。
しかし、あんな人たちに負けたくないので、前に向かって行こうと思っています。
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