<この体験記を書いた人>
ペンネーム:梅の実
性別:女
年齢:49
プロフィール:バブル期の楽しい思い出を、若い世代の友人に話して笑わせることが好きです。
遠く離れた九州に住む私の母(76歳)は、物をほとんど捨てずに大事にとっておく人です。
年に一度くらいしか帰省できていないのですが、帰った時の部屋着は私が高校の時に着ていたもう35年くらい前のもの、なんてこともあります。
コロナ禍になる前の2020年1月に帰省した時のことです。
「そうそう、この前納屋を整理していたら(私が着ていた)スーツが出てきのよ」
母がそう言って紫のスーツを持ってきました。
紫のスーツなんて持ってたかなあ...? なんて思いながら母が持ってきたそのスーツを見た瞬間、思わず声を出して笑ってしまった私。
というのも、そのスーツは忘れもしない30年前、私がバブルを謳歌していた時代に着ていた、あの頃の香りがプンプン匂うものだったのです。
しかし本当に、当時こんなスーツを着ていたんですよね、私。
しかも通勤着として愛用していたとは...。
そのスーツは改めてみるとすごいデザインでした。
ジャケットは、大きすぎる肩パッドで肩がすごくとんがっていて、前身頃はダブルの金ボタン。
金ボタンには金のチェーンまで付いているではありませんか。
下はすごくタイトなスカートで、丈は膝くらいまであるけれど、後ろのスリットはお尻が見えそうなほど深く入っています。
「まだキレイだし、着られるかなと思ってとっておいたのよね」
「いやいやいや...状態がよくてもこのデザインは無理でしょう!」
母は自分で言いながら既に笑っていました。
一緒にいた父(76歳)も爆笑し、私も笑いが止まりませんでした。
そしてデザイン以前に、細すぎて絶対着られません。
その頃、つまり30年近く前の私は、今より体重が15kgくらい痩せていたのです。
あまりにもおかしくて、着てみようとした私でしたが、スカートは太もものあたりでストップ...はけません。
ジャケットなんて袖を通そうと思ったら二の腕が通りません。
前のボタンは閉まるわけもない!
見ていた両親も着ようとしていた私も笑いが止まらず、笑いすぎて涙が出てきてしまいました。
しばらく経って、やっと笑いと涙が落ち着いた頃、母が言いました。
「ぽっちゃりしても私たちの可愛い娘には変わりないわよ!」
そういったとたん、またなぜか笑い出した母と父につられ、私もまた笑ってしまったのですが、ちょっと嬉しかったです。
そのスーツはその後捨てられるわけでもなく、また納屋にしまわれていきましたが、面白い思い出としてとっておくつもりなのでしょうか?
因みに母親はすごく小柄な体型なので、もしかしたらあのスーツが着られるかも? と思い後日電話でそう言ってみたのですが、案の定電話の先で爆笑。
「ちょっと~お父さん聞いてよ!」
そばにいたらしき父にも伝えてまた2人で爆笑。
楽しい両親の子でよかったなあと、思いました。
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