<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男
年齢:59
プロフィール:超低金利時代でローンの利率も随分下がりました。若い頃はまだ物欲が強く、結構やばい橋も渡った59歳の男性です。
「コロナで職を失って、ずいぶんつらい思いをしている人もいるみたいだなあ」
ニュースではフードバンクに列をなす人の姿が映っていました。
「昔と違って今は低金利時代でずいぶん借金の利子も下がってきたみたいだけど、やっぱり気軽に金融業者に頼るわけにもいかないんだろうね」
妻(56歳)に話しかけて、結婚前の黒歴史を思い出しました。
まだまだ若手だった平成3年頃の話です。
わたしは当時楽器に凝っていました(今でも時々ギターをかき鳴らすぐらいはしています)。
安物の楽器で満足できればいいのですが、分不相応なビンテージギターなどに手を出してしまうこともありました。
そんな時はローンを組んで、毎月少しずつ払っていくのですが、改めて計算してみると万単位の利子を払っていることになります。
貯金してから買えばいいだけの話ですが、欲しいものが出た時に必ず蓄えがあるというわけでもなく、涙をのむこともしばしばでした。
「うわ、このキーボード、いいなあ!」
冬も近づいた頃、話題のキーボードが目につきました。
しかし例によって、蓄えは十分ではありません。
冬のボーナスまで2カ月ほど待つという選択肢もありますが、何とかすぐに手に入れたい。
「ボーナスまで支払いを待ってくれないもんかねえ...」
そう思っていた時に「30日以内に返済すれば金利0%」という当時のサラ金の売り文句の看板が目に入りました。
「いま借りて、30日後ってことは、もう年末に近いな...」
悪魔のささやきで、あるアイデアを思いつきました。
いまサラ金で借りても、30日以内には忘年会の会費集金をして返すことができます。
知り合いの飲み屋ならボーナス払いでつけをきかせてくれるから、忘年会の幹事を引き受ければ、金利ゼロでいまキーボードを即買いできる。
思いついたら矢も楯もたまらず、サラ金で借りた金を持って楽器屋に直行してしまいました。
忘年会の幹事はみんな敬遠していましたので、では私が、と申し出るとみな大歓迎で任せてくれました。
「お店は前に私が頼んだところでいいですよね」
「ああ、あの店、よかったよね」
思惑通りに話が進み、しめしめと思っていたのですが、課長(当時54)から大爆弾発言が飛び出したのです。
「あの店もよかったけど、もう一ついい所があるんだ、こないだ同窓会で使ったんだけど安くてうまくて最高だった」
いやいやいや、あの店じゃないと私が困るんです!
しかし、そんなことを言えるはずもなく、課長の鶴の一声で店が決まりました。
確かにいいお店ではありました。
ただ文字通り明朗会計のお店で、集金した会費はその日のうちに支払わざるを得ませんでした。
サラ金で借りた借金は、無利子期間の30日では返すことができず、2カ月ほどの借り入れになってしまいました。
ボーナス日にあわてて返済しましたが、目論見はあえなく外れ、結構な利子(当時は高利があたりまえでしたから)を払う羽目になった若き日の私。
お金のことで小細工はするものではないと、身をもって教えられました。
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