20代で結婚、2男1女を授かり、主婦として暮らしてきた中道あんさん。でも50代になると、夫との別居、女性としての身体の変化、母の介護...と、立て続けに「人生の転機」が訪れます。そんな激動の中で見つけた「50代からの人生を前向きに過ごすためのヒント」。今回は、「円満な関係を築く夫婦の努力」についてお届けします。
前回の記事:終わりのない主婦業...。ふと思い立って2泊3日で出かけた「50代のひとり時間」を過ごす旅
幼なじみがわが家の近所にある人気のカフェに行ってみたいというので、久しぶりに3人で集まりました。
その中のひとりは幼稚園からの付き合いでもう50年以上になります。
数年ぶりの再会でもまるで昨日も会っていたかのようになるのは、飾らない子供の頃からお互いを知っているからでしょうね。
本当の素の自分になれて、言葉遣いも地元の言葉に。
うちはまだ未婚の子供が二人いますが、友人たちは子供さんが結婚して夫婦二人暮らしに。大人といえども、子供には何かと世話を焼いてしまうもの。
「子どもが結婚してくれたら、どんなにいいか...。(そうしたら)ほんと、自由になれるよね~」と言うと、それがそうでもないというのです。
今回はランチを一緒に食べたのですが、これが夜の集まりならまず参加できなかったと。
理由は「ご主人の夕飯」。
友人と飲みに行くというと、「俺の飯は?」からはじまり、「俺一人で食べるのか?」「何を食べたらええねん?」と、あきらかに不機嫌になる。
それが嫌なので夫が家にいる日は出かけられない。
「今夜のために昨日からカレーライスを用意してある。帰りにデパ地下でサラダを買って、カキフライでも揚げようかな」
そう言う友人に...
「ひとりで食べたらええやんか。近くに商店街もあるやん。お惣菜でも買ったらええやん」
と言うと、
「それができないのよ。やりたくないの。寂しいの」
なんという面倒くささ。
というか「小学生か!」と口悪く突っ込みました。
そういう理由があって、集まりへの不参加が多かったのです。
そんなこんなで、どこに出かけるのも一緒。
ひとり旅なんてとんでもない夢のようなこと、だと。
「じゃあ、友人たちで旅行に行くと言えば?」
「俺も行きたい!と言うにきまっている」
この熟年夫婦(いやもう初老夫婦の関係ですが)、愚痴ともいえる言葉のはしばしに不平不満の色は感じず、どちらかといえば、世話焼き女房のノロケのように感じました。
なんやかんやいっても仲が良いのです。
話していてさらにおもしろかったのは、毎朝目覚めると、ご主人が生きているかどうか確認するというのです。
寝息を立てていれば「あ、生きている」と安心して身支度にとりかかる。
「ええ、そんな心配するの」と聞くと、「私もするよ」ともう一人の友人が。
こちらは、ベッドから足を延ばしてご主人のカラダをつつき体温を確認するそうです。
それぞれ自分なりの夫の生存確認のルーテインを教えてくれました。
なんというほほえましさでしょう。
そういえば、私は夫と暮らしている時に、「〇〇にいってくる」など言わずに出かけていました。
小さなことで一々許可をとるようなことはなかったように思います。
最後に二人ででかけたのはいつだっただろうか?
あれは、単身赴任先から一時帰国をしていた時のこと。
恋愛時代に行った高級な中華料理店へのランチ。
ですが、恋愛時代のように会話は弾まず、場を持たすのに苦労をしてつまらなかったことを思いだしました。
「もう二度と二人だけでご飯を食べにいかないでおこう」と思ったものでした。
結婚14年目、パートナーシップの努力をしようなんて考えもしなかったのです。
それを思えば、友人たちは相手を思いやる気持ちを持ち、円満な関係を築く努力をしていると感じました。
こういうところが自分は全然違うのだろうな、とも。
ふたりともが私に向かってにっこり微笑みながら、「あのな、現世で添い遂げられなかったら、来世もまた一緒になるんやで」「これは人生の修行やで」と。
そんな脅しの言葉に、次こそチャーミーグリーンのような手つなぎ夫婦を体験してみたいと思うのでした。
【まとめ読み】50代のこれから、そして悩み...中道あんさんの記事リスト
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