＜この体験記を書いた人＞
ペンネーム：ソラマメ
性別：女
年齢：50
プロフィール：夫、社会人の息子、中学生の娘、実母の5人暮らしです。
私には昨年社会人になった息子がいます。
息子は子供の頃、おっとりした性格でしたが、しっかり者でした。
息子のしっかり者エピソードを挙げると、小学校時、学校からのプリントはクリアファイルに入れて持って帰り、帰宅後すぐに私に渡す。
学校に保護者が記入して提出する書類は、提出期限にマーカーを引き、私が息子に書類を渡すまで何度も催促する。
自分でクリアファイルを準備し、学校からの書類をその中に入れてきちんと親に渡す息子。
担任の先生からは「息子さんには感心する」と言われていました。
また息子は学校で先生の話を良く聞いているので、先生の話を聞いていなかった同じクラスのお友達のお母さんから「宿題の範囲を教えて」という電話も何度かありました。
このように息子のしっかりした性格は、小学校の担任の先生やお友達のお母さんからお墨付き付きだったのです。
一方、親の私はルーズで忘れ物が多く、うっかりしていると言われることよくありました。
きっと息子はそんな私を反面教師として見ていたのでしょう。
しっかり者の息子は中学生になっても変わらずでした。
さらにその頃は、夜は9時には就寝して朝5時には自ら起床する、という今どきの中学生にはあまりないのでは？と思う健康的な生活ぶり。
中学校の授業態度も良く、提出物はきちんと提出し、中学生になっても先生からもお友達のお母さんからも褒められることが多い息子でした。
夫と、息子はこのままの性格で大人になってほしいねと、その頃よく話をしていたのを思い出します。
高校生になってもしっかり者は顕在でした。
もうこのまましっかりした大人になるだろうと安心しきっていました。
ですがある日の朝、高校に自転車で向かった息子から電話がかかってきました。
「昨日、コンビニで授業のプリントをコピーしたんだけど、コピー機の横に財布を置いたままだったのを今思い出した」
息子らしくないことに驚く私に、息子は学校に遅刻しそうだから、そのコンビニに電話を掛けてほしいというお願いしてきました。
慌ててそのコンビニに電話をかけたところ、幸い店員さんが財布が置いたままなのにすぐに気が付き、預かってくれていました。
ほっと胸を撫でおろし、しっかり者の息子もたまにはこんなうっかりがあるんだとその時は軽く思っていました。
しかし、息子はまた別の日に、今度は銀行に財布を置いたまま帰ってきました。
この時もラッキーなことに、銀行員さんが息子の財布を見つけ預かってくれていました。
さすがに2回続くと、親の私も息子に「ちゃんと確認して行動しないと。もうこんなラッキーが続くとは限らないよ」と注意しました。
子供の頃からしっかり者の息子に対し、注意をすることがあまりなかったのでなんだか変な気分でした。
そして大学生になると、さらに息子のうっかりさが際立つ出来事が多発しました。
携帯を落として割ること3回、携帯水没1回、定期券紛失などなど。
携帯を忘れて登校することと朝寝坊は、日常茶飯事で今も続いています。
私達親は、今の息子に対し、もうあの時の安心感を抱くことはありません。
あんなにしっかりしていた息子はどこに行ってしまったのでしょう？
こんなに変わってしまうのでしょうか？
子供の頃の担任の先生やお友達のお母さんが今の息子を見たら、びっくりするに違いありません。
私のルーズでうっかり者のDNAが出てきてしまったのでしょうか？
息子はもう立派な大人で社会人です。
3カ月後には1人暮らしをする予定です。
独り立ちをしたらまた子供の頃のようなしっかりした息子に戻るでしょうか？
いや、戻ってほしい。
親の私はモヤモヤしながらそう祈る日々です。
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