<この体験記を書いた人>
ペンネーム:クロッカス
性別:女
年齢:52
プロフィール:孫の下校時刻に合わせて見守りパトロール。これを始めてはやウン年が過ぎました。
毎日夕方になると、ソワソワする私。
「もうじき孫が帰ってくる」と嬉しい気持ちになるのです。
とはいえ...色々な心配がある今の世の中。
迎えを兼ねたパトロールに毎日出かけています。
そうなると色んな子どもたちと顔を合わせることに。
その際、当然のことながら「お帰り~」とか「こんにちは~」などとあいさつを交わします。
これは私の中では至って常識的な振る舞いだと、疑う余地などもっていませんでした。
しかしこれが原因で、危うく「不審者登録」されるところだったのです。
それが起きたのはとある年の4月。
下校の列に新一年生が加わったころでした。
初めて見かけた女の子に「お帰り~、気を付けて帰ってね~」なんていつもの調子で声をかけたところ、なんとその小さな女の子は「びくっ」と肩を動かしたあと「ギャ~~~」と言いながら猛ダッシュ。
一目散に逃げ出すではありませんか。
これには私もビックリ仰天。
あっけにとられ、「なに? なに? なに~?」と一人言を言いながら、その子を目で追っていると、少し進んだところにいる女性に助けを求めている様子が目に飛び込んできました。
なんとその女の子は、私の方を指差しながらこちらを見てその女性と話しこんでいたのです。
「こ、これはもしかするとまずい展開? 警察呼ばれるの?」と、困惑の私は、「なんとか弁解しなきゃ」と二人のいる方向に向かいました。
なにせさっきの「ギャー~~~」は凄かった!
そこを考えると、二人の話しがどんな風に展開しているのか恐怖でしかありません。
しかもその場所は自宅のすぐそば。
「ご近所に不審者出没。犯人は私?......ってそれ最悪じゃないか!」と悪い想像が頭を駆け巡ります。
そんなことを考えながら、女の子の方向に向かうと、その小さな女の子はその場から早足で立ち去ってしまいました。
残る相手はその女性。
近づいてみると、幸いにも何度も挨拶を交わしている顔見知りの女性でした。
少しホッとしながらも、先ほどの事を説明していると、「聞きましたよ~。大変でしたね~」と笑顔で答えてくれました。
同時に、私に小学生の孫がいること、毎日私が見守りパトロールに出ていること、そのことを好意的にとらえて下さっているのだと聞かされました。
結果、無罪放免。
ホントにヨカッタよ~。
しかし、そこで教えられたのは現代の新常識。
「知らない人に話しかけられたら恐怖を感じる子供もいるので、慣れるまでは挨拶はしない方が良い」と教えられました。
どうやら、さっきの女の子も、「知らない人に声かけられたら大声出して逃げること。そして周囲の大人に助けを求めること」とお母さんから教えられていて、それを実行したのだと話してくれました。
これにはびっくり仰天の私。
しかし、今の世の中で起こっている事件を考えると仕方のないこと。
こうして私がパトロールに出ているのもそういったことを心配してのことなのですから。
「あいさつは当然」
そんな時代の終わりを感じる、切ないような悲しいような......何とも悩ましい出来事でした。
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