<この体験記を書いた人>
ペンネーム:まなやさん
性別:女
年齢:52
プロフィール:水泳していた52歳のおばさん。
私は喜怒哀楽が激しくて負けず嫌いです。
怒るとタチが悪いので、子供には「怒られるようなことをしないように考えて行動しなさい」と教えてきました。
親の顔色を見る子どもがいますが、それは徐々に顔色が変わるからだと思います。
しかし、うちは違います。
例えば「宿題は?」と2回言っても直ぐやらないと、3回目にはプリントを破ります。
2回くらい破ったら、自らやるようになりました。
この性格は短気だった父の血が脈々と流れているからだと思います。
言い訳しようものなら熱々のお味噌汁が頭から降り、箸の持ち方が違うと注意される前に叩かれて、箸が飛んで行きました。
今なら虐待で近所の人に通報されていたに違いありません。
そんな親に育てられた私の息子も、とにかく激しくて、負けず嫌いです。
息子は3歳の時にスイミングスクールに通い始めました。
実をいうと、水が好きだった私も3歳から水泳を習い、オリンピックを目指していました。
しかし婦人科系の病気になり、水に入ることが出来なくなってしまったため「自分に男の子が生まれたら水泳をさせたい」というのが、私の願いだったのです。
息子が小学校2年生の時、スイミングスクールで関東大会に出場できることになりました。大会が11月なので、インフルエンザにかからぬよう予防接種も早目に済ませ、注意していたのに、大会3日前にインフルエンザと水疱瘡を併発し欠場してしまいました。
雪辱を期した翌年は、自由形とバタフライでエントリー。
今度こそ風邪をひかぬようにマスク、手洗いうがいを徹底、細心の注意をはらっていました。
そんなある日、事件が起こりました。
学校から「息子が友達と喧嘩をして怪我をした」と電話があったのです。
私は学校に飛んで行き、病院で診てもらうと...右手の親指の付け根を骨折していました。
ギプスが巻かれ、三角巾で釣られた息子の姿。大会まであと1週間。
息子に怒り心頭の私は「喧嘩して怪我したんだから大会出なよ!」と言うと息子は「うん。出るよ」と。
大会前日に病院へ行き、なんとか大会に出たい旨を先生に懇願。
大会後の受診を約束をして、簡易的なギプスにしてもらいました。
そして迎えた大会当日。
アップの時間に、外で見学している私を見つけ、コーチが飛んできました。
「息子さん大丈夫ですか? 骨折してるんですよね?」
「なんで骨折したか、本人からお聞きになりましたか?」
そう尋ねると、コーチは笑って「喧嘩したって言ってました」と。
そこで私は「自分の骨が折れるほど、喧嘩したんですよ! お友達の方が痛かったはずです。大丈夫です。何百メートルも泳ぐわけじゃないんですから」
そう話していると、アップを終えた息子が走ってきて「ママ......バタフライは手を水面に打ちつけるから痛すぎて無理! クロールならいける!」と言いました。
そこでコーチにバタフライの欠場をお願いして、自由形だけ出場して......結果は5位。
私は複雑骨折をしたことがあるので、どれだけ痛いか知っています。
それなのにクロールだけでも泳ぎ切って5位なんて......と、ウルウルして「よく頑張ったね!」と抱きしめました。
帰りの車の中で「骨折してなきゃ3位までには入れたな」と息子。
......間違いなく私の子です。
翌日5位の賞状を持って、病院の先生に見せていた姿をとても可愛く思い、待合室に沢山患者さんが居るのにも関わらず、出てきた息子に我慢できずホッペにチューをしました。
照れながら息子が言い放った言葉は......「ママってはげし~」。
生意気な息子! でも大好きだよ!
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