<この体験記を書いた人>
ペンネーム:よしお
性別:男
年齢:54
プロフィール:地方都市の公務員として勤続30年以上です。お酒は好きだが強くない、そんな自分を呪った出来事です。
昨年末のこと、職場の忘年会は例年通り温泉宿での宿泊宴会でした。
酒には強くないが飲み会が好きな自分としては、帰りを気にせず心おきなく飲める貴重な機会です。
心ゆくまで飲み明かした翌朝、帰宅しようと車を動かしました。
ゴツン、という鈍い音と共に、車がぶつかった感触を感じました。
やっちまった、と思った時には後の祭り、宿の看板に車の後部をこすりつけてしまっていました。
これは弁償か、高くついたなあ、と思いながら宿の方と一緒に警察に事故報告しました。
駆け付けた警察官から「一応、場所が場所ですから」と呼気検査を求められました。
飲み明かしたとはいえ、飲み終えてからは8時間以上が経っているので気にせず検知器に息を吹き込みました。
ところが...!
「......反応、出てますね」
見せられた検知器には確かに「0.2」の表示が!
「酒気帯びですね。罰金になりますよ」と人生初の赤切符を切られてしまいました。
そんな馬鹿な、とは思いましたが、こうなってしまった以上は神妙にするしかありません。
帰宅してから妻(52歳)に事の顛末を話すと「お酒に弱いくせに調子に乗って飲むからよ。まあ、誰かをケガさせたわけじゃなくて良かったわ」とやられました。
職場にも報告すると、処分がはっきりしてからもう一度詳細を報告するように指示されました。
後日の意見聴取と即決裁判で免停90日、罰金20万円となりました。
「そんなに?」と思いましたが、してしまったことは事実とあきらめました。
職場では事故報告書を書かされました。
「まあ、初犯だし、職場の飲み会の後だから情状酌量もあると思うけど......何らかの処分はあると思うよ。いまはアルコールは厳しいからねえ......」と上司にも言われ、気分はどん底です。
その日は家に帰り、妻に免停になったことや罰金のことを話しました。
「しょうがないわね......しばらくは自転車通勤するしかないわね」とため息混じりです。
しかし「職場にも報告したら、処分があるかもって言われてさ......」と漏らしたのを聞いて妻の様子が一変しました。
「え? 処分って? 職場にも言っちゃったの?」
「そりゃ職場の飲み会での事故だから、言わないわけには......」
「なに言ってるのよ! 罰金なんて払えば終わりだけど、職場で処分って言ったら、クビってことよ!」
「いや、そこまでは......」
「バカじゃないの? いまは厳しいのよ! 弱いくせに、お酒の席ばかり出かけて行って! あれほど気を付けてって言ってたのに!」
鬼の形相でまくしたてられました。
「こんなバカな人と思わなかった! もうダメだわ! 付き合ってられない、別れましょう!」
「そんな......勘弁してくれよ」
「いいえ、もう終わりよ!」
そう言い残して一人で客間に行ってしまいました。
しばらくの家庭内別居の後、職場の処分が出ました。
結果的には訓告どまりで、職務は安泰でした。
「......まあ、今まで真面目に勤めてたから、勘弁してもらえたんじゃない?」
そう言いながら妻は、天の岩戸からお出ましになりました。
こうして、なんとなく普段の生活を取り戻しましたのですが...
二度と酒宴の翌日は運転しないぞという固い決意と共に、土壇場で見せられた「妻の恐ろしい姿」は忘れることができそうにありません。
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