「あなたも母になればわかるよ」家計がしんどくても私を応援してくれた母に感謝

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:蛙の子はおたまじゃくし
性別:女
年齢:52
プロフィール:年をとるごとに昔のことばかり思い出してしまうセンチメンタルおばさん。

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80代後半になる母は、今でもことあるごとに私のことを「この子は昔からなんでも1人で決める」と言います。

確かに、どの高校に行くかも、高校に入ってすぐアルバイト先を決めてきた時も、働いて貯めたお金で友人と旅行へ行くことも全て事後報告でした。

そして、幼い頃からピアノを習っていた私は、高校三年生になった時「音楽の大学へ行く」と決めて母に宣言しました。

ですが音大を受験をするにはレッスンを増やしたり等お金がとてもかかります。

当時の私はそんなお金のことは全然考えていませんでした。

夏期講習や冬期講習も必要だと思うものは全部自分で決めて申し込み「いくらいくらかかる」と金額を言うと母は黙って渡してくれました。

うちの家はごく普通か、もしかしたら普通以下の経済状態だったかもしれません。

しかし、母は子どもにそういったことを考えさせず、やりたいようにやらせてくれました。

昔、自分が勉強をしたくても「女は大学なんか行かなくていい」と言われて悔しかったこと、音楽も大好きだったのに習わせてもらうことができなかったことを私に重ねて、自由にしている私と、それが許される時代を眩しそうに眺めていたようです。

時折「◯ちゃん(私のこと)はいいねえ。綺麗な洋服着て旅行に行って。お母さんが若い頃はしたくてもできなかったなあ」と言う母。

その言葉に「非難の色」は全くありませんでした。

そして音楽大学に合格したあかつきには、今までパートだった仕事を正社員にしてもらえるよう会社に頼み込んで、私の学費を捻出してくれました。

実際母の収入のほとんどが私の学費に消えたんだということを、大人になってから笑い話で聞かせてくれました。

大学生になって更に自由奔放に生きる私を、母はいつも影で支えて応援してくれていたのです。

今、子育てをしてきて、3人目の子どもが大学進学を控えて、もう少しで一息つけるか、といったところまでようやくきました。

子育てというもの、そして子どもがしたいことをさせるということはこんなにお金がかかるものなのか......と驚きの連続でした。

習い事にせよ受験にせよ、様々なことに、です。

私はかつての母のように黙って子どもにお金を出すことはなく、つい「え〜、またお金かかるの〜?」などと文句を言ってしまいます。

母はこんな大変な思いをしてお金を捻出してくれていたのかと、今更ながらに頭が下がる思いです。

「◯ちゃんもお母さんになったらきっとわかるよ」と子どもの私に言い聞かせていた母。

戦時中に女学生時代を過ごした母の強さと、子どもへの愛情の深さにしみじみ感謝しかありません。

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