マルチーズをつれてこないで!パート勤めをする老舗の専務「とんでも跡取り息子」

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:みるくあいす
性別:女性
年齢:45
プロフィール:3年前離婚してパート勤めをはじめました。実家に戻り両親と暮らしてます。

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3年前、パート初出勤となる私を笑顔で迎えてくれた指導係の第一声は今でも忘れません。

「おはようございます。今日からよろしくお願いします。専務の言うことは全部無視してもらっていいです」

この人はいきなり何を言い出すんだろうと目が点になりましたが、彼の言わんとするところはすぐわかりました。

私の勤め先は江戸時代の終わりごろから続く乾物屋さんです。

仲卸と言うのでしょうか? 店舗で小売りもしていますが、お客様のほとんどはスーパーや飲食店です。

大きくはありませんが、5年程前から展開しているネットショップの売り上げも好調で、優良企業だと思います。

そんな会社で「言うことを無視していい」と言われた専務というのは...35歳の跡取り息子さん。

この人が変わっているというかなんというか...すごい人なのです。

まず、専務は毎日ペットのマルチーズを連れて出社してきます。

そして小売りをしている店舗の半分を改装して「カフェにする」と言い出したこともありました。

乾物屋の店先でカフェ? コーヒーの香りは私も大好きだけど、コーヒーの匂いの付いた鰹節とか昆布とか売れるわけにいかないじゃん?

...と私は思うのですが、「いいっすね、今流行りですもんね!」というおべんちゃらボーイがいて、もうカオス。ただ、専務は三日も経つとすっかり忘れているので、実害はありません。

私の入社前、専務が仕事を始めたころは、営業部長さんがずっと叱ったり励ましたりしていたようですが、その後見切りをつけたのか、私が入社して見る限りでは、その方も挨拶程度しかしない、という感じになっていました。

ほかにもあります。会社で扱っている商品は乾物。そんなに重くはなく、割と大きめの箱でも私でも運べるくらいですが、専務は絶対に運びません。

社長が「手伝え!」と怒鳴ると、立ち上がってマルチーズの散歩に行ってしまいます。

逃げ切れないときはおべんちゃらボーイが「俺がやります」と自分の仕事をほったらかして手伝う始末。

おべんちゃらボーイと二人して配達に出れば、片道20分の取引先に、朝9時に出て戻って来るのはなぜかランチを済ませた午後2時ごろ。

私は最初事故にでもあったのではないかと心配したのですが、私以外の皆は慣れっこで、まともな時間に帰ってきたらびっくりするほどです。

まったく一体どこをどう車で走ればそんなに時間がかかるのか教えてもらいたいくらいです。

最悪なのは忙しいときに働いてくれないことです。

商売柄、8月末から忙しくなり、11月はてんてこまいになります。

それなのに専務はと言えば...マルチーズを膝にのせて、パソコンで人気芸人の動画を観ているだけ。

それも一日中スピーカーをオンにし音を出しているので、周りで仕事をする人たちはいい迷惑です。

おべんちゃらボーイは一緒になって笑っているし...本当にカオスです。

働いているのは私の指導係と営業部長、もうひとり社員の3人だけ。

指導係は「マルチーズは倉庫に入ろうとする猫を追い払うから専務より役に立つ」と言ってはいますが、食べ物を扱う店に犬がいるのは...いくら事務所から出さないとはいえ、個人的にはちょっと疑問です。

それでも、一つだけいいところがあります。一応、専務の自覚はあるのか、クレームの電話は一手に引き受けてくれるのです。

それについては助かっていますし、そこだけでもありがたい、と思うしかないのかなぁと感じつつ仕事をしています。

でも、私も反省すべきことはあります。専務が"すごい頭"で出社してきた時に、こんな会話をしてしまったんです。

「昨日大阪に行ってきたんですよ、日帰りで。飛行機ならすぐですけど」(専務)

「何しに行ってきたんですか?」(私)

「ドレッドを編みに」(専務)

...あんた仕事もしないでどんだけ給料もらってんのよ!...と言いたいのをグッとこらえて「似合ってますよ」と言ってしまった私。

私も相当の嘘つきですよね。

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