<この体験記を書いた人>
ペンネーム:タピ丘茶子
性別:女
年齢:52
プロフィール:将来の夢はユーチューバーな52歳。
現在、大学生の娘が大学を受験した時のことです。
できるだけ絞り込んで志望校を決定したものの、同じ大学の違う学科への志願も含めると、その数は軽く「10」を超え、受験費用だけでなんと30万を超えてしまいました。
さらに3年生になってからは塾の日数も増え、夏期講習代も馬鹿にならない金額。お金は羽が生えたかのように飛んで行きました。
夫の会社で進学のための積み立てを何十年もしていたため、実際合格した後の費用は心配していなかったのですが、受験するだけでもこんなにかかるとは想定外でした。
夫に積み立てを解約してもらうよう会社に申請してもらったのですが、それが振り込まれるまでに早くても1カ月はかかると聞き、焦りました。
利率の良い社内預金なので仕方が無いのですが、さてどうしたものかと無い知恵を絞っていた時。ふと目に付いたのがリビングの棚の片隅に10年ほど前から鎮座している、家族旅行で行った某有名リゾートのキャラクターの貯金箱でした。
まだ小学生だった娘に欲しいとねだられて買ったそれは、家族旅行の記念としてリビングに飾られていたのです。
そして、「また10年後に家族で旅行できるように貯金しよう!」と意気込んで「1日の終わりにお財布の小銭は全部ここに入れること」と決めて続けていました。
数百円のお釣りでも、5円や10円でも、とにかく財布を開けて小銭が入っていたら全て貯金箱行きです。これは夫が言い出したことなので、主に夫にがんばってもらいました。
夫が帰ってきたらまず「お財布〜」と出させて、小銭を貯金箱に入れるのですが、これを子どもたちが面白がって率先してやってくれました。
その分、夫のお金が無くなるのが早いので、結局は追加のお小遣いを要求されたりもしましたが、楽しんで貯金できていたと思います。
その小銭貯金の習慣は、子どもが大きくなって夫より遅く帰るようになっても続き、夫は自然と自ら小銭を入れるようになっていました。
毎日のことなので、特に意識することもなく、「今日は50円しか無いなあ」とか「おっ、今日は300円以上あるぞ」などと独り言を言いながら入れている夫を横目で見ていたのです。
その貯金箱を開けてもいいか、家族会議にかけました。
断腸の思いではありましたが(特に夫)、背に腹は変えられないと満場一致で可決されたのです。
そして翌日銀行に行き、その額が軽く20万円を超えていたのを見た時は「ああ、これでとりあえずなんとかなりそう」と涙が出そうになりました。
おかげで、娘の受験も無事終わりました。
家族旅行の費用はまた一から貯めなくてはならないけれど、次にどこへ行ったとしても貯金箱を買おうね、と家族で笑いながら話したのでした。
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