<この体験記を書いた人>
ペンネーム:どんぐり
性別:女
年齢:50
プロフィール:家族4人暮らしです。1時間ほどの距離に実母が独り暮らしをしています。
母は、私が子どもの頃から安い服などを見つけると、必要でないものでもいろいろと購入していました。
例えば、子どもの為に購入したと言っていた「皮のコート」。
当時高校生だった私には不似合いで、お世辞でも気に入っているとは言えませんでした。むしろ、好みでない服に嫌気すら感じていたぐらいでした。
その母の口癖はきまって、「この服いくらだったと思う?」。
そして、どれくらい定価から値引かれていたかを、事細かに説明するのがお決まりでした。
もちろん、子どもの服ばかりでなく母自身の服も「お買い得」であれば、一度に5、6着ほどたくさん買って満足していた母。
当時は父に決まった生活費を渡され、限られた中でやりくりをしていたため、自分の意志で欲しいものも満足に買うことが出来なかったのでしょう。
だからセールの品ばかり購入していたのかな......と思っていました。
その習慣は76歳の今も続いています。
父は30年ほど前に他界し、現在は年金暮らしですが、父と一緒に暮らしているときより自由に使えるお金が多少なりとも出来たことも、影響していると思います。
独り暮らしの母が住む実家へ帰ると、タンスに納まりきらない大量の服が、部屋の片隅に積み重ねられています。
一緒に生活しているときはそんなに気にも留めてなかったのですが、私も結婚して家族を持ってから、この状態は少し異常かも......と思うようになりました。
それが年を追うごとにひどくなっている感じがするのです。
そんな母は、普段は何年も前から着ているボロボロの服を着ています。
タンスからあふれるぐらい服があるので、もったいないから着るように言っても、全く着る様子がありません。
「どうして買った服を着ないの?」と母に尋ねると「お母さんは買うのが楽しみだからこの服のままでいいのよ」と言われました。
さらに「安く買った服を眺めているだけで嬉しいのよ」と。
必要だから安い服を買うのではなく、安い服をたくさん買うことで満足し、それがストレス発散になっているようなのです。
どうやら母は軽い買い物依存症かも......と、そのとき思ったのでした。
買い物に出かけると、セールになっている服やカバン、靴にいたるまでお買い得なものを物色して買わずにいられない母。
自分の生活費の中から捻出して購入しているので、危機的な状態には陥ってないのがせめてもの救いです。
しかし、一度も着用していない大量の服。
半分でもいいので処分するかリサイクルショップへ売るかどうかを提案したのですが、「お母さんが死んだらあなた達が着たらいいよ」と言われてしまいました。
母の好みと私の好みはかけ離れているので、全く着たいとも思わないのですが......。
今でもどんどん服が増え続けていきます。
どう考えても無駄遣いとしか思えませんが、長年苦労してきた母の唯一の楽しみをやめるように言うのも気が引けてしまいます。
解決策も見つからずため息ばかりです。
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