アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
息子の通う高校でPTAの会長に選出された時のお話です。
【前回】PTA会費を教職員の飲み代に使うのってありなの? 定例会で問題提起してみたら...
教職員の二次会・三次会の飲み代をPTA費から支出することに対して、全員一致で「出さない」と決まったが、やはり教職員からPTAに対して今後協力がなくなってしまうのではと不安の声も上がった。
「例えば、今まで教職員からの協力とは何がありましたか?」
行事委員長から手が挙がった。
「地域清掃の時に用具の準備とかです」
地域清掃の前に倉庫から教職員と生徒とで掃除用具を出す際、PTAと書かれた箱を一緒に出してきてもらい、それを役員たちで確認するのだ。
足りない物はそこで数を控え、会計が事務所に注文を入れるか掃除当日に買ってくる。
「それは本来PTAがやることですよね? 倉庫から箱2つ出してきて、中の数を確認して会計さんが手配をしてくださる。前回も定例会後にみんなで一緒に確認しましたけど、歩いて2~3分の倉庫に箱2つ取りに行くだけのことですから、ものの10分もかかりませんよね? いや、毎年出してもらっているのはありがたいと思いますよ? でももし『飲み代も出してもらえんのやから、掃除道具くらい自分らで出せや!』とか教職員たちから思われるのなら、自分たちで(倉庫から)出せませんかね? 台車に乗せれば大丈夫じゃないですか?」
行事委員長は「そう言われればその程度だ」という顔をした。
続いて本部の書記が手を挙げた。
「あとは...、一部の保護者へのお手紙です」
PTAからのお知らせ以外に委員さん個別に渡すお手紙があって、これは担任から生徒に渡してもらっている。
定例会や各種委員会後に封筒に詰め、表書きに学年とクラス、保護者の名前を記入して各担任の机の上に置いておくと翌日生徒に配ってもらえるのだ。
「もしそれも今後できないって言われたら、何百通もってことではないんですから、切手を貼って郵送で出せばいいんじゃないですか? 帰りに校門を出たところにあるポストに入れたら確実に届きます。むしろ生徒経由よりも確かに届きます。教職員への飲み代より切手代の方が安いですし、会計報告にも『通信費』として堂々と計上出来ます」
「確かに...」
「他に、これはどうしても学校にお願いしなければならないってことはありますかね?」
「総会の時に椅子を運んでもらうのってありますよね?」
「あの出席者の人数でしたら、今後は視聴覚室で十分じゃないですか? なにも総会は体育館でしなきゃなんないって決まりはないんですから。椅子の用意も机の用意も要りませんよ」
もうあらかじめ用意してたのかってくらいスラスラ言えることに、自分でもびっくりする。
そもそも、当時はスマホのない時代だったとはいえ、いろいろと効率悪いなぁと個人的に思っていたのだ。
手紙を生徒経由で渡してもらったところで、生徒が必ず親に渡すとは限らず、貰った貰わないの話で揉めたこともあるし、挙句に「生徒なんかに渡すからだ!」と保護者から怒鳴られたこともあった。
FAXのある保護者なら送信履歴が残るし、なぜこう手間をかけて当然のところに手間を省こうとし、手間をかけずに済むところにダラダラと手間をかけようとするのかと思っていた。
総会も視聴覚室なら冷暖房完備なので、体育館で寒い思いをすることもない(ちなみに視聴覚室は100人ほど入れた)。
「そう考えたら、これと言って学校側にどうしてもお願いしなきゃなんないことってないよねぇ」
文化委員長が発した。
高校は小中と比べて、そもそもPTA主催の行事が少ない。
逆に学校側からPTAに協力依頼がある場合の方が多く、この学校の場合PTAから学校側に頼むことはほとんどないのだ。
むしろ、教職員の飲み代を出してやってまでご機嫌を取るだけでなく、そのことを会長と会計とで揉み消すような罪悪感を持つ必要性を感じない。
「なぁ! なあ!」
ここまで黙っていた副会長の下条さんが口を開いた。
「こんなことって私らだけで決めてええん?」
「私らだけでって?」
「だって~、今まで何年も続けて来たんやろ? それを突然止めるんはどうなん?」
「どうなんとは?」
「だから~、今までそれでずっと上手くやってたんやろ? それを急に出せへんようになるんは、なんかマズいんとちゃうん?」
「どうマズいんですか?」
「いや、ほらさぁ~」
「先生たちから嫌がらせでもあるとか?」
これには役員・委員たちから「えー!」と声が上がった。
「いや、ほら、ほら~。今までの会長さんたちがずっと払ってきてたんやろ? それをかづさんで止めるっていうのはどうなんやろって~」
下条さんは元会長の米沢さんからいろいろと言われてきてるんだろうし、報告もしなきゃなんないんだろう。
「そもそもですが、今までの会長さんたちは会議での承認も取らずに勝手に会費を使っていたんですよね? それも会計報告でそのことを隠していた。本来ならその件を追及されるべきことなんですよ? それはおわかりですか?」
「.........」
「PTA会費は個人のお金ではなく公的なお金ですので、『頼むわな』と言われて『はいわかりました』と出せるものじゃないってこともご理解いただいていますか? 先ほど皆さんにご説明して採決を取りましたよね? 誰も反対はされませんでした。ですから、PTAとしては出しませんってことになったんですが、下条さんは出した方がいいってご意見なんですか?」
「そうじゃないけど...」
「そうじゃないけどどうなんですか?」
「いや! もうええ! もうええわ!」
下条さんはへそを曲げたようで、副会長としての務めであるこの後の会議進行も嫌だと言いだし皆を呆れさせた。
会議ではまだまだ決めることがあった。
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