「50代の女性です。お世話になった方の退職時に、みんなでお金を出しあって贈り物をした経験、一度くらいあるのではないでしょうか。そんな心温まるシチュエーションで起こったちょっとモヤモヤするお話です」
■部長と担当の正社員と派遣社員で餞別代を割り勘?
2022年の春、派遣社員として配属された会社のある部署での出来事です。
正社員として勤めていた女性が定年退職することになり、後任として派遣で配属された私。
約1カ月ほどかけて引き継ぎを受け、徐々に仕事を覚え始めていた頃のことです。
部署のメンバーは私とその女性のほか、T部長(55歳くらい)と正社員(50歳くらい)の2人がいました。
女性社員の最終出勤日が近づいてきていたある日、T部長から「女性社員の方に餞別を送ろうと思うのですが、どうですか」という提案を受けました。
正直、一緒に仕事をした期間や関係性が2人の男性社員とまったく違うので、「私も?」と思いましたが、引き継ぎでその女性にはお世話になりましたし、今後の関係性も考えて、その提案に乗ることにしました。
ところが、T部長の言った内容に驚きました。
「では、3人で2000円ずつを出し合うことにしましょう」
「ちょっと待って! 正社員と派遣社員でそもそもの収入が違うのに割り勘なの? しかも私は入ってまだ約1カ月足らずなんですけど...」
心の中でそう思いながらも、承諾した手前、ここで不満を言うのは水を差すようで気が引けてしまった私は、その金額を払うことにしました。
しかも、女性への贈り物は何がいいかよく分からないからという理由で、私が買い物に行くことに。
なんとなく腑に落ちないものの、人の役に立つことですし、引き受けることにしました。
「もしも足が出てしまったら、その分は私が出しますので後で知らせてください」
T部長がそう言ってくれたので、少し安心しました。
その後、仕事の帰りにデパートに寄って何がいいかを物色。
60歳になる女性、しかもいいものをいろいろと知っていそうな雰囲気のある方だったので、下手なものは選べないと思案し、落ち着いた感じのハンカチを選ぶことにしました。
あまりに予算を下回っておつりが出ても困ると思い、1枚2,000円のハンカチを3枚購入。
消費税分の600円で足が出てしまいましたが、まあこのくらいは大丈夫だろうと思っていました。
■600円の不足分で見えた上司の器の大きさ
その翌日、職場でT部長にハンカチを餞別の品にしたことを報告し、渡しました。
「ありがとうございました。ご苦労様でした」
そう言ってもらったところで、実は600円ほど足が出てしまったことをレシートを渡して伝えると、T部長は「あ、そうなんですか...」と、少しばかり不穏な雰囲気になりました。
「600円は超えすぎだったかしら。いやいや許容範囲でしょ」と思いつつ、「600円を3で割りますか?」と尋ねると、「いえいえ、それは大丈夫です」とのこと。
しかし、「いまは小銭がないので後でいいですか」と...。
本心では「何それ...」と思いつつ「はい、大丈夫です」と答え、T部長の手元に小銭が来る時を待つことにしたのです。
ですが、待てど暮らせどT部長から600円は戻ってきません。
一度くらいは催促すればよかったのかもしれませんが、このぐらいでうるさく言うのもどうかと思って言わなかった結果、そのまま600円は返ってきませんでした。
証拠として持っていたレシートも、半年を過ぎる頃になんだかバカバカしくなって捨ててしまいました。
もちろん、T部長が忘れていた可能性もあります。
ただ、人の言うことを簡単に鵜吞みにするものではないということ、どんなに高給取りでも出金を渋る人がいることを知った勉強代だと思っています。
いまとなっては笑い話です。
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