ディープな街にある「スナック えむ」店主、霊感ゼロのアラフォー作家、えむ。「お礼に一杯奢るから」を謳い文句に、ホラートークをしてくれるお客さまを待つ。今宵は、スナックデビューの大学生、美緒ちゃん(21)のお話「こっく●さん」。
※実際に身の周りで起きた実体験エピソードに基づき構成しています。
【前編】え「命に危険」がある遊び、続けます?/今宵もリアルホラーで乾杯「こっく●さん」(5)
※ ※ ※
【大学生の美緒ちゃん(21)の話】
「マジで~!?」
「まさかの展開!」
AちゃんとBちゃんは、部屋の空気が変わったことに気づいていないようでした。
むしろ今までのテンションより高めにこっく●さんに話しかけています。
「どこが好きなの?」
ぜ...ん...ぶ...
「好きになったタイミングは?」
ひ...と...め...ぼ...れ...
「一目惚れだって~っ!」とAちゃんは大興奮。
(きっと、二人が私のことをからかって動かしてるんだな...)
そう思うと、こんなことをするなんてと少し腹が立ってきました。
す...き...だ...よ...み...お...
「どうするの美緒? 付き合っちゃう?」
とBちゃんはさらに私をからかいます。
「そんなことできるわけないじゃん! っていうか二人とも、もうやめてよ」
「え? いやいや、私たち何もしてないよ?」
す...き...す...ご...く...す...き...
み...お...み...お...
5円玉は止まることなく動き続けました。
す...き...っ...て...い...っ...て...
そして、どんどん部屋の空気が冷たくなっていったんです...。
AちゃんもBちゃんもさすがにおかしいと気付き始めました。
「...そ、そろそろ帰ってもらおうか」
「うん、そうだね...」
「こっく●さん、こっく●さん、そろそろお帰りください」
とAちゃんが言うと、5円玉は「いいえ」の所へ移動しました。
その後、何度帰るように言っても「いいえ」から全く動いてくれません。
「どうするの...」
血の気が引いていくからなのか、5円玉の上に置く人差し指の先が冷たくなっていきました。
触れているAちゃん、Bちゃんの指先も同じようでした。
「ねえ、もう終わらせちゃえばいいんじゃない?」とBちゃん。
「ダメだよ。ちゃんと帰ってもらわなくちゃ取り憑かれるって聞いたし!」とAちゃん。
(取り憑かれる...)
私はゾッとしました。
すると、5円玉がまた動き始めたんです。
み...お...す...き...だ...
だ...い...す...き...
「ねえ、二人ともお願いだからやめてってば!」
「だから私たちじゃないって言ってるじゃん!」
す...き...だ...い...す...き...
あ...い...し...て...る...
私たちはパニックになりました。
す...き...す...き...す...き...す...き...す...き...す...き...す...き...す...き...す...き...
ず...っ...と...い...っ...し...ょ...だ...よ...
「いやっ! あんたのことなんて好きじゃないっ!」
泣きながら私がそう叫んだ時です。
バリンッ...!
突然、天井の蛍光灯が割れ、私たちの周りを冷たい風が渦巻くように吹いたんです。
風音はうなり声のようにも聞こえました。
「ごめんなさい! 許してください!」
私たち3人は泣きながら、どうにかして帰ってもらおうと必死にお願いしました。
少しすると風は止み、冷たい空気もなくなりすっかり元に戻りました。
そして私たちはすぐに紙を燃やし、5円玉を塩で清めました。
ですが...。
そこから1週間ほど、私は原因不明の高熱にうなされ続けました。
母に正直に話すと、AちゃんBちゃんも一緒に、お祓いに連れて行ってくれました。
すると翌日には熱も引き、すっかり元に戻ったんです。
遊び半分でああいうことはやってはいけないのだととても反省し、今では「こっく●さん」という言葉を聞くだけでゾッとしてしまいます...。
※ ※ ※
「なるほど...。そういうことが起きることもあるのね」
「ですね。本当に危険な遊びなので、絶対にやらないほうがいいと思います」
「っていうかお母さん、よくお祓いに連れて行ってくれたわね」
「最初は半信半疑でしたが、実際私は高熱でうなされてましたし。お祓いに行ったらすぐに良くなったので、本当なんだなと思ったみたいです。ただ、めちゃくちゃ怒られましたね...」
「そりゃあそうでしょ。蛍光灯は割れてるわ、変な遊びはやってるわ...私でも激怒するわ」
ふと見ると、水割りグラスを握っている美緒ちゃんの両手が微かに震えているのがわかる。
(いまだに震えるくらい、本当に怖い思いをしたのね...)
「話すのに勇気がいったでしょう? ありがとうね」
美緒ちゃんにはもう1杯、梅酒のお湯割りでも出してあげよう。
【今宵もリアルホラーで乾杯シリーズ】
・この絵、何かがおかしい...絵の中にいるはずの女の子が/「呪われた絵」
・ガチャ...夜中に訪れた「大柄な男」をよく見ると足が/「毎週来る霊」
・怖い、引きずり込まれる! 夢で見た「黒い影」の正体は/「悪夢の道」
・誰もいないはずなのに...! 背後から奇妙な「音」が/「祓っちゃだめ!」
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- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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