とあるディープな街にある「スナック えむ」店主、霊感ゼロのアラフォー作家、えむ。「お礼に一杯おごるから」を謳い文句に、ホラートークをしてくれるお客を待つ。今宵は、街で有名な老舗ゲイバーの美和ママの話「呪われた絵」。
※実際に身の周りで起きた実体験エピソードに基づき構成しています。
はじめまして。
えむと申します。
作家をしながら、とあるディープな街の片隅でスナックを営んでいる酒好きの40代独身女性です。
いきなりですが現在、新しく依頼された仕事について頭を抱えてまして。
ホラーを題材にした作品を書かなければいけないものの、何しろ私、霊感がゼロ。
その類いの経験は一切ナシ。
なので、なかなか書き進められず、溜息とお酒の量が増すこの頃。
そこで最近、「お礼に一杯おごるから」を謳い文句に、とっておきのホラートークをしてくれるお客さまを待つようになりました。
そんなある夜のことです。
「おこんば~んわぁ~。えむちゃん、今日も飲んでるぅ~?」
誰かと思えば、この街の老舗ゲイバーの美和ママ。
話し出すと止まらない機関銃トークで有名な名物ママです。
うっ...これは、なかなかしんどい営業になるかもしれない...。
「聞いたわよぉ。ホラートークを聞きたいらしいじゃない。だからアタシが、とっておきの話をしてあげようと思って来てみたの」
(よしっ! それはラッキー! 手短かに話してくれたら、よりラッキー!)
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【老舗ゲイバーのママ・美和(年齢不詳)の話】
アタシ、絵が好きでしょ?
店にも気に入った絵画をたくさん飾ってるくらいなんだけど、昔、骨董屋でとんでもない絵画に出会ってしまったの。
それを見た瞬間、ビビビビビッ!って全身に衝撃が走ったわ。
今までいろんな絵に出会ってきたけど、そんなこと今まで一度もなかったから、即購入して店に飾ったの。
その絵は、草原の中央に、ポツンと髪の長い白い服を着た女の子が立ってるっていう、今思えばどうしてあの絵に引かれたんだがわからない、ちょっと不気味な作品でね。
でもその時の私は本当にその絵を気に入りすぎて、今まで飾ってあった絵を全部処分してその絵だけを飾るようになったくらいなのよ。
でもその絵、何かがおかしいの。
それは飾ったその日から感じていたんだけど...。
でも、なぜかどうしても飾らずにはいられない。
お客さんやバイトの子に「不気味だから外して欲しい」って言われたんだけど、アタシはどうしても外したくなくてね。
隙あらば絵を眺めて、そのたびになぜかニヤニヤとほほ笑んでしまう...。
後から聞いたんだけど、そんなアタシの様子をみんなすごく心配していたみたい。
でもある日、常連のお客さんに言われて気付いたの。
「この女の子、こっちに近づいてきてない?」
って...。
【今宵もリアルホラーで乾杯シリーズ】
・ガチャ...夜中に訪れた「大柄な男」をよく見ると足が/「毎週来る霊」
・怖い、引きずり込まれる! 夢で見た「黒い影」の正体は/「悪夢の道」
・誰もいないはずなのに...! 背後から奇妙な「音」が/「祓っちゃだめ!」
・え「命に危険」がある遊び、続けます?/「こっく●さん」
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