57歳夫が会社を辞めて起業したいと言い出した!こんなときどうするべき...?

<このお悩み体験記を書いた人>

ペンネーム:ぴあにっしも
性別:55
年齢:女
プロフィール:子育てが終わったとたん介護生活が始まるという、我が人生に休憩なしの昭和ど真ん中世代。

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夫は57歳。この春定年を待たずして退職しました。夫が長きにわたり勤めていた会社は、いわゆる大手企業。営業職についており、決して給料は悪くはなかったのですが、義親の希望でこの地に住んだために強いられた遠距離通勤で夫はかなり疲弊していました。

夫が会社を辞めると言い始めたのは5年ほど前。体の疲れだけでなく、度々変わる上司にトップ。数字だけを追いかけるようなところにも嫌気がさしていたようでした。それに合わせて転職組がそれなりの成果をだし、給料アップしていることもよく聞かされていたので、それも刺激になっていたようでした。

さらに定年後に再雇用された人たちが、給料半分で働かされている姿も気に入らなかったようで、自分はあんなふうになりたくないと言っていました。夫は「定年まで働き続けるなんてどうかしている。自分からどんどん新しいことを始めていかなければどうしようもないんだ」という持論を展開。私なら、定年まで働けたうえにその後も半分も給料がもらえて身分が保証されるのなら悪くないと思うのですが、夫はそうじゃなかったようです。

最初の頃は、老後の年金だけでは十分な生活ができないという話だった気がします。年金と並行して収入が入るようにしたいから家を貸すといったり、外国で飲食店を出したいと言ったり。

それが、会社を辞める1年ほど前から「語学学校をやりたい」に変わり、退職してからすぐに本当に語学の専門学校に通うようになりました。

夫が勤めていた会社ですが、義父が大手企業じゃないとだめだとかけたプレッシャーに応えるために選んだ会社だったのかも知れません。本当にやりたかった仕事なのか、勤めたかった会社なのかは疑問です。なので、夫の残りの人生、悔いのないようにやりたい、やってみたいという気持ちもわからないではないです。

しかし、問題はお金です。うちはシングルインカム。大事に貯めたお金は、学資保険では賄いきれなかった子供の学費に見事に消えていきました。その上、おそろしいことにまだ住宅ローンが10年分は残っています。年金受給までも3年はあります。それに加えて夫は買い物好き。出かけると何かしら買い物をしてきては請求するので、私のやりくりも追いつきません。情けないですが父の年金を生活の支えにして、なんとか凌いでいる状態なのです。

夫は、収入がなくなるのは随分と前からわかっていたことで、それに対し私が何の手も打たなかったことに対して不満を持っているようです。しかし、私はここ数年ずっと義母のお世話に明け暮れていましたし、その上父も引き取りました。もし、仕事をしていたならば、間違いなく介護離職をしていたような状況です。

そんな夫は、この夏には退職金で2人ほど雇うらしく、しばらくこちらの地に慣れてもらうために我が家に間借りさせるというのです。2人分の給料だけでなく生活費や光熱費も増えます。今でさえ赤字状態なのに、一体どうするつもりなのでしょう。

夫はこの事業がうまくいくかいかないかは賭けだと言います。退職金を使うというのですから随分リスクの高い賭けです。しかし、猪突猛進な夫ですから言い出したらとまらない。私は一言も口出しすることは出来ず、事の成り行きをただ見守るだけです。

さて、この賭けは今後どちらに転ぶのか? 私には不安しかありません。

【シニアに差しかかった夫の起業について、専門家のアドバイス】

いくつになっても、どんな夫婦でありたいか、ということはふたりで決めていくことです。

定年後、起業したいと考える夫----。意外と多いです。アクティブシニアが増えている証拠でもあります。ですが、妻の側は、サラリーマン生活に終止符を打ち、そのまま穏やかに過ごしてほしい、そんなふうに考えている方も多いようです。そこで、「この先、この人と一緒にやっていって大丈夫なのか?」という夫婦問題が浮上します。

人生の半ば、50歳前後の男性は、「俺の人生これでいいのか」とふと立ち止まり、起業や転職、場合によっては浮気といった問題が起きることがあります。これは「中年の危機(ミッドライフクライシス)」と言われます。最近では60代以降も元気なシニアが増え、いつまでも現役でいたい、いや、むしろ「もっと何かができるはず」という人も多いようです。妻として、「応援するわ」と言えるのなら問題にはなりませんが、リタイア後の互いの未来図が違うとやはり夫婦問題です。

ある夫は定年後、借金をしてもそば屋を開きたいと言い出しました。妻は反対です。もしも借金が返せなかったら、苦労を共にしなければなりません。今まで4人のお子さんを育ててきて苦労がなかったわけではありません。だったら離婚もありなのではないか、と妻は悩んでいました。

定年後の夫婦の未来図は、一度はちゃんとすり合わせをしたほうがいいです。どんな生活、どんな夫婦、どんな未来を作るのか。もしも未来図が違ったら、どこか歩み寄れるところはないのか、また経済的なことも限りがあるので、そこも視野に入れて話し合うことが必要です。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
記事に使用している画像はイメージです。
 

<教えてくれた人>
立木ミサ(たつき・みさ)さん

夫婦問題カウンセラー。1959年、神奈川県生まれ。これまで1200人以上の夫婦問題に接し、男女、世代を問わずに夫婦に起きるあらゆる問題に取り組んでいる。「生き苦しさ」を乗り越えるためのサポートを主軸にカウンセリングを行っている。

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