もうすぐ20歳の息子が「懐かしい」とポツリ。絵本がくれた小さな幸せ

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:kaori &.
性別:女
年齢:55
プロフィール:猫とインコと息子とともに、音楽を愛して生きる幸せモノ。

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夕方の駅ビルの書店で、19歳の息子と待ち合わせをしていました。

久しぶりに食事に行こうと約束をしたので、「何を食べようかな?」と考えながら書店をブラブラ。帰宅途中の学生がマンガの立ち読みをしている中に、息子の姿を探していたところ、特設コーナーで絵本のフェアをやっていました。

近寄ってみると、懐かしい名作絵本がずらり。

表紙を見ただけで、中に描かれている絵が目に浮かび、文章もすっかり覚えてしまっているものがたくさんありました。

「良い絵本は、何十年たっても変わらず愛されているんだなあ」なんて思いながら、手に取って開いてみると、息子が小さかった頃の記憶が次々に蘇ってきました。

絵本を読んだのは、いつもお昼寝から起きて少しボーっとしている時間。窓からオレンジ色の西日が差し込んでいたイメージ。

膝に座って、柔らかい手で絵本の中の魚やウサギやワニさんを触りながら、ケラケラ笑い声を立てたり、毎回毎回、同じところで必ず大喜びしてくれたり、時には何かを思い出して、急にページをめくるのを遡ったり......。

大きくなるにつれ、声を出して私と一緒に読むことが出来るようになり、先にページをめくるようになり、文章の多い本が増え、成長につれて絵がなくなり、厚みが増し......膝には座らなくなり、手を繋がなくなり、日が沈むまで帰ってこなくなり......。

そして、中学生になると、本は楽譜に変わりました。

吹奏楽部に入り、打楽器奏者になった息子。それからはずっと音楽漬けの毎日。そして19歳になった今、息子は立派な音大生になりました。そう言えば小さいとき、絵本に登場する動物や人が出す音を真似するのが、とても上手でしたっけ。

すっかり夢中になって絵本に見入っていると、いつの間にか息子が隣に立っていました。すいぶん大人っぽくはなったけど、誰からも「小さい頃と顔は変わらないね」と言われます。19年の間にいろんなことがあって、今は母子二人の暮らし。それでも穏やかで幸せに居られるのは、いつも息子が笑っていてくれたから...と心の中で感謝しています。

あれこれ想いを廻らせていると、肩を並べて立つ息子が、昔一番お気に入りだった絵本を手にして、小柄な体に見合わない低い声で「ああー、懐かしいなあ」と呟きました。

なんだか不思議な感じ。

この子の口から、「懐かしい」なんていう言葉を聞く年になっていたなんて、ちっとも気がつきませんでした。

あと1カ月半で、息子は20歳になります。今度、絵本を読んであげるのは、きっと「孫」なんでしょうね。元気でいなくてはね。

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