「何度も何度も、落ちて来る」落ちてきたのは「人」。パニックになった私は/今宵もリアルホラーで乾杯

ディープな街にある「スナック えむ」店主、霊感ゼロのアラフォー作家、えむ。「お礼に一杯奢るから」を謡い文句に、ホラートークをしてくれるお客さまを待つ。今宵は噂を聞いてやってきた警備員のあきさん(52)の話、「何度も何度も、落ちて来る」。今回は第16回です。

※実際に身の周りで起きた実体験エピソードに基づき構成しています。

【前編】「何度も何度も、落ちて来る」でも、落ちた形跡はない。「何が」落ちた?/今宵もリアルホラーで乾杯

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警備員・あきさん(52)の話

いつも聞こえるあの「ドンッ!」っていう音が自分の真上で聞こえたから、不思議に思って確認しようと外に出たんだ。そしたら...。

ドンッ!

また何かが落ちる音がしたんだ。俺は恐る恐る振り返った。

「ヒッ!!」

待機小屋の上に、スーツ姿の男がうつ伏せで倒れていたんだよ。

顔だけ俺の方に向けて...。

俺はすっかり腰を抜かしちゃってね、その場から動けなくなっちゃったんだ。

けど、もっと驚いたのは、その男、俺の目の前でスウッっと消えちゃったんだよ。

「な、なんなんだよ!」

そう言って立ち上がろうとするけど、情けない話、腰が抜けっぱなしで全然動けなくて。

どうしたもんかと思っていたら...。

ドンッ!

またあの男が落ちて来たんだ。

そして、男はまたすぐに消えた。それで少しするとまた落ちて来る。

ドンッ!

男が消えたタイミングで俺は、ゆっくりと視線を上に向けたんだ。

「あっ!」

スーパーの屋上、フェンスの外側に見える黒い影、それは間違いなく、あの男。

俺が息を飲んだのと同時に、男は待機小屋めがけて落ちて来る。

ドンッ!

男は落ちては消え、落ちては消えを繰り返していたよ。

パニックになった俺は、なんとか立ち上がって、スーパーの店内を警備していた先輩警備員の所までたどり着いて泣きついた。

「やっぱり見ちゃったか...」

先輩警備員は困った表情をした後、あの男について話してくれた。

数年前、閉店直前に屋上から中年のサラリーマンの男が飛び降りたと。

ちょうど真下にあった待機小屋に落ちたものの即死。

以降、夜になると何かが落ちる音がするって噂になっていて、俺の前にも何人か、何度も何度も落ちてくる男の姿を見ていたってことだったよ。

俺は待機小屋の横に花を供えて「どうか安らかに成仏してほしい」と拝んだ後、すぐに違う現場へ配属を変えてもらった。

※ ※ ※

あきさんはため息をつきながら言った。

「自殺した霊は、たいがい自分が死んだことに気づいていないんだってね。だから延々と同じことを繰り返すらしいよ」

「そうなんですか。じゃあその人、まだ今も落ち続けているんでしょうか?」

「どうだろう。そのスーパー自体は数年前に取り壊されて、今は高層マンションになってるんだよね。そこでも落ち続けてるとは考えたくないなあ。ちゃんと成仏していてくれたらいいなって思ってるよ」

「ですね。私もそう願います」

事故物件で働くのも大変だなぁ。

と、うっすら他人事のように感じていたけれど。

つい「そういえばこの建物って、大丈夫なんだっけ...」と考えてしまったわ。

では、2杯目のウィスキーは私からのおごりということで。

【今宵もリアルホラーで乾杯シリーズ】
この絵、何かがおかしい...絵の中にいるはずの女の子が/「呪われた絵」
怖い、引きずり込まれる! 夢で見た「黒い影」の正体は/「悪夢の道」
誰もいないはずなのに...! 背後から奇妙な「音」が/「祓っちゃだめ!」
え「命に危険」がある遊び、続けます?/「こっく●さん」

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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著者:えむ
スナックを経営。独自にリサーチした都内のオススメ酒場は多数。夢はおんな酒場放浪記に出演すること。

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