<この体験記を書いた人>
ペンネーム:梅の実
性別:女
年齢:49
プロフィール:派遣でお世話になった企業多数。それぞれに色んな人たちが働いていて趣味は人間ウォッチングです。
昨年2020年の春、私が勤めていた会社には休憩スペースがありました。
そこには100円を募金箱のような箱に入れて好きなお菓子を取る方式のお菓子コーナーがあり、重宝していました。
私が配属された隣の営業部には、周りの人に気遣いができて営業成績もよく、でも「周りのみなさんのおかげです」と謙虚でみんなから好かれているベテランのS先輩(男性51歳)という方がいました。
休憩スペースは、営業部の人たちが外から帰ってきて一息つく場所でもあるのですが、ちょうど私が休憩していたときにS先輩がいました。
そして、見てしまったのです。
お金を入れずに勝手にお菓子を取って食べているところを...!
「あれ? 私がお金をいれるところを見ていなかっただけかな」
最初はそう思っていたのですが、その後も何度か私が休憩スペースにいて、S先輩が後から来たときも......やっぱり、お金を入れてない!
うわー、と私はがっかりしてしまいました。
だってあんなにみんなから好かれている素敵なS先輩が...。
せこい、せこすぎる。
いやもしかして、実は営業成績をイイことに、お菓子くらいタダで食べたっていいとか思っている!? と頭の中はぐるぐる。
席に戻った後もどうにも心が落ち着かないので、隣の席に座っていたS先輩の同期女性先輩に「さっき、休憩スペースで...」と小声で話をしてしまいました。
「ああ、あれねー。みんな知ってるよ。大した額じゃないけどちょっとねえ...」
みなさん、ご存知だったのです。
ただ、S先輩自身はみんなにばれていないと思っているそうです。
本当にショックでした。
そしてそれから1カ月ほどたったある日、全社ミーティングがありました。
そのミーティングで総務部から、休憩スペースのお菓子コーナー設置を止めるという報告があったのです。
「えー、お菓子ちょこっと食べられるのすごくよかったのに~」
そんな惜しむ声が多く上がる中、S先輩にかわいがってもらっている後輩T(36歳)がぼそっと爆弾発言をしました。
「S先輩、ただ食いしすぎたからじゃないですかあ~」
本人的には、隣にいたS先輩に小声で言ったつもりだったそうなのですが、社内一声が大きいTくん。
その場にいた社員50人に聞こえてしまったのでした。
S先輩が何か言おうとしたその前に、周りは全員大爆笑。
そして誰も否定せず笑っていたので、S先輩は自分がただ食いしていたことをみんな知っていたことに気付いたようでした。
「あー、もしそれが原因だったなら、Sの給料からお菓子代引いてください! お菓子コーナー継続してほしいです!」
S先輩の上司である部長もそう言ったので、さらにみんなで爆笑。
S先輩もちょっと気まずそうにはしていたものの、その場は険悪なムードになりませんでした。
だけど本当にかっこ悪い...。
仕事が本当にできて、女子社員からも人気だったのに、その日を境にちょっとお笑いな人になってしまった残念なS先輩なのでした。
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