みなさまこんにちは。アルツハイマー型認知症を発症した実母の近距離介護を始めることになったイラストレーターの石塚ワカメです。
前回、実母から「なんだか迷子になっているみたいなのよ~」と連絡があり、その後、電話が通じなくなったことを書きました。今回はその続きです。
前回記事:母から「迷子」の電話、そして音信不通...こんな時はどうしたらいい!?
引っ越したばかりで土地勘もなく、ましてや認知症な実母の迷子。
実母の携帯に電話をかけまくりながらネットで「認知症 迷子」で検索すると「徘徊」という言葉が出てくる。迷子は迷子でも、認知症の人の迷子は「徘徊」と呼ぶらしい。一見意味もなく歩きまわっているようでも本人にとっては目的がある行動なので無理に止めず、一緒に歩いてあげたほうがいいそうです。
うんうんなるほどね~、でも既に1人で遠くに行っちゃってる場合はどうしたらいいのーーー!?
そうこうしているうちに息子の保育園のお迎えの時間に。息子をお迎えに行った足で近所を探すも、いない。「ちゃっかり帰って来てたりして~」と一筋の希望を胸に実母のアパートに行くも、やはりいない。
何をどうしたらいいのかわからず、心配と不安に押しつぶされそうになりながら、「育児」という大義名分を盾に現実逃避するかのごとく息子に夕飯を食べさせていると、実母から着信が!
即座に出ると、電話からは知らない初老の男性の声がしました。
どうやら声の主は隣町のお巡りさんで、実母が他人の家の庭に侵入して草むしりをしていたところ家主に通報され、警察署で保護しているとのこと。実母に代わってもらうと、声は元気そうだけど完全に支離滅裂。でも、無事に見つかってよかった!!ていうか意外に近くにいたじゃん!
ご飯途中の息子の手を無理やりひいて警察署まで迎えに行くと、ニコニコ顔の実母が。
ひとまず自宅から持って来たお茶とおにぎりを実母に食べさせてる間に、保護時の状況説明と身元引受けの書類の記入。
電話で連絡をくれた初老のお巡りさんは、警察署の外まで送ってくれる際、「あなたも大きいお腹で小さい子連れて大変だね。僕の母親も認知症だったんだけどさ、本人は怒られた原因自体は忘れても、不思議なことに"怒られた"って記憶だけは残るんだよ。だから怒らないであげてよ」と言って、ポケットの小銭で息子にジュースを買ってくれました。
実母は形式上は不法侵入罪ということになるらしいけど、家主さんは「庭も綺麗になったし」と笑って許してくれたとのこと。おそらくこのお巡りさんが実母の病状を察し、家主さんに説明してくれたのかもしれません。
タクシーで自宅に帰り、庭仕事と汚物で汚れた実母を風呂に入れ、ご飯を食べさせ、息子とアパートまで送り届け、お巡りさんの助言通り怒らずに「おやすみ」と言って扉を閉めました。
それにしても、長い長い1日だった...。 しかし、のちに徘徊問題に幾度となく悩まされることになるとは、このときの私には知るよしもなかったのです...。
次回に続く!
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