「がんは結局、運の要素が大きい」と話すのは、病理学者として長年がんと向き合ってきた仲野徹先生。食生活に気を配り、健康的な暮らしを心がけていても、病気はある日突然やってくることがあります。だからこそ「がんは運」という言葉は、決して突き放すものではなく、「自分のせい」「生活習慣が悪かったのかも」と自分や家族を責めてしまう気持ちを、そっとほどいてくれる優しさを持っています。本記事では、仲野先生の著書『がんは運である? 自分事として向き合うための手控え帖』(KADOKAWA)より、がんという病気と自分らしく向き合い、納得して人生の選択をしていくためのヒントを抜粋してお届けします。

※本記事は仲野 徹 (著)による書籍『がんは運である? 自分事として向き合うための手控え帖』から一部抜粋・編集しました。

適正な体重の維持

がんによる死亡のリスクと総死亡リスクが、BMIとどういう関係にあるかが調べられている。日本人の中高年が対象で、7つのコホート、35万人以上のデータをプールした大規模解析だから信頼性は高そうだ。ちなみにBMIとはBody Mass Index の略で、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った値である。

グラフを見れば、がん死亡、総死亡ともに、痩せすぎでも太りすぎでもリスクが高くなること、そして、その傾向は男性において顕著であることがわかる(図6)。なので、できるだけ死ににくくするには、男性ではBMI値21~26.9、女性では21~24.9の範囲になるように体重を管理することが望ましい。

日本肥満学会では、BMI値18.5から25未満を普通体重とし、それより上と下をそれぞれ肥満と低体重としている。なので、いちばん「死ににくい」BMIは、普通体重からやや肥満気味ということになる。統計的に最も病気になりにくい適正体重(標準体重)はBMI値が22とされているが、死亡リスクからいくと、それよりも高値の人の方が有利なのだ。

病気になりにくい、と、死ににくい、が微妙に違うのはなんでやろ? おそらく、やや太り気味の方が、栄養状態がよくてエネルギーの蓄えやら筋肉量が維持できているからだろう。言ってみれば、余力があるということだ。こんなデータがあるのだからBMIの標準値を引き上げればいいのではないかと関係者に尋ねたことがあるのだが、その先生によると、標準値は太りすぎの人に対する警告という意味もあるので、低めに設定しておいた方が望ましいという話だった。なるほど、言われてみたらそうかも。

数値目標が明確だし、身長は加齢に伴って縮んでいくとはいえそう大きく変わらない。もちろん自制心が必要だが、体重計さえあれば日常的なコントロールが可能である。ぜひ適正なBMI値の維持に努めてもらいたい。