HOTとCOLD。両方同時に買える自動販売機は日本だけだった/すごい技術

pixta_22848766_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?
身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

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●自動販売機

自動販売機だけのコンビニがあるという。それくらい親しまれている自販機だが、その進歩は、今もなお止まらない。

自動販売機(略して自販機)の歴史は古い。世界でいちばん古い自販機は、2000年以上昔に遡(さかのぼ)るという。コインを投入すると水が出てくる装置で、エジプトの寺院に置かれていたそうだ。そして今、自販機だけのコンビニエンスストアがあるほど、その普及には目を見張るものがある。飲料や食物だけでなく、花や下着など、実にさまざまなモノが売られている。

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海外ではそれほど目立たない自販機だが、普及台数だけ見ると日本はアメリカ、ヨーロッパよりも少ない。海外で目立たないのは、露出度が低いからだ。海外ではビルの中など、防犯対策が施(ほどこ)せる場所に設置されていることが多いため、日本ほどは目立たない。

自販機の普及の裏では、さまざまな努力がなされている。例えば、省エネの工夫が挙げられる。この四半世紀で電力消費量は7割以上削減された。照明をLEDにし、センサーを備えて照度を調整。さらには、取り出し口付近だけを冷却、加温し、すぐに売れるものだけを温め、冷やしている。

最近、エコベンダーと呼ばれる自販機をよく目にする。これは「ピークシフト」機能を搭載した自販機だ。電気がもっとも使われる夏場の午後には冷却運転を停止し、その前にしっかり飲食物を冷却しておく機能が備えられているのだ。こうすることで、発電所の負担を軽減することができる。

おもしろいことに、一つの自販機で暖かいものと冷たいものを同時に売る機能があるのは日本固有だという。狭いスペースを有効利用し、冷却の排熱をムダにしない「もったいない」を心がける日本人の特性が現れている。


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ところで、自販機の正面に、設置場所を示すステッカーが貼られているのをご存じだろうか。これは、2005年から始められたサービスだ。災害時などに、すぐに居場所がわかり心強い。また、災害時には中の飲料等を無料で提供する機能が付いているものもある。自販機はインフラ的な存在でもあるのだ。

 

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涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。


涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


 

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『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

身近なモノに秘められた“感動もの”の技術、一挙解説! 身近な文具から、便利すぎるハイテク機器まで…あれもこれも、すべて「科学技術」の結晶なのです。日ごろよく使う「モノ」の“すごい技術”を図解でわかりやすく解説します。

この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

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