今回は、鈴木登紀子さんの次女で、料理研究家の安藤久美子(あんどう・くみこ)さんに「ひな祭りには毎年作ってくれた思い出の一品『ちらしずし』」についてお聞きしました。ひな祭りの季節にピッタリの彩りと味には「ばぁば」との想い出がいっぱい。
ひな祭りには毎年作ってくれた母の味
鈴木登紀子さんが亡くなられて早2年。
ばぁばの愛称で親しまれていた登紀子さんは、亡くなる3日前までお元気に食事をされていたとか。
96歳の大往生でした。
90歳からは次女の久美子さんと同居をし、コロナの流行で出歩けなくなるまで、料理教室を月に10回ほど開催。
NHKの「きょうの料理」など、テレビの料理番組でも活躍されていました。
久美子さんは、毎日の暮らしの中で「母の教え」が至る所にある、と話してくださいました。
料理だけでなく、掃除をしているとき、何げなく話をしているとき、ばぁばから聞いた事柄が思い出されるそうです。
「だから寂しくはないの。いつも母がそばにいるようで」と久美子さん。
その思い出の一つが、ひな祭りの日の朝早くから仕込みをしていた「ちらしずし」。
具材を一つずつていねいに煮て、すし飯は文化鍋で炊いたご飯。
煮あがった具材をすし飯に混ぜる要領など、全て母の教えだそうです。
特に好きだったのが、ピンクのたらのでんぶ。
そのままご飯にかけてもお弁当の彩りにしても、おにぎりに混ぜ込んでも、おいしい一品です。
冷蔵庫で保存できるのでたくさん作って、楽しむそう。
そんなピンクのでんぶをいっぱいのせた思い出のちらしずしを作っていただきました。
菜の花の緑、たらのでんぶのピンクを桜が満開の春山の風情に見立てています。毎年、ひな祭りの朝は母が早起きして作ってくれた思い出の一品です。(久美子さん)
一人前に盛り付けて
えびとしめ卵、絹さやのお吸い物を添えて。しめ卵の作り方は、卵4個に塩少々を加えて溶き、熱湯に流し入れて火が通ったら、ふきんを敷いたざるにあけます。ふきんで巻いて卵を筒状にして整え、冷まします。これを切り分けます。
撮影/工藤雅夫