約8割の人が「いまの自宅に住み続けたい」と回答! 専門家に聞く「長く暮らせるコツ」

定期誌『毎日が発見』の読者アンケートで、これからの住まいについて350人にお聞きしたところ、約8割の人がいまの自宅に住み続けたいと回答されました。一方で、約9割の人がその自宅に問題があると考えているようです。そこで今回は、終の住処 設計企画 終の住処コンサルタントの田中 聡(たなか・さとし)さんに、「自宅で長く暮らすコツ」についてお聞きしました。

読者アンケート

約8割の人が「いまの自宅に住み続けたい」と回答! 専門家に聞く「長く暮らせるコツ」 2210_P032_01.jpg

Q.これからどんなタイプの住まいに住みたいですか?

約8割の人がいまの自宅に住み続けたいと回答

ほとんどの人が、住み慣れた自宅でこれからも長く暮らしていきたいと考えています。自宅以外では、有料老人ホームなどの施設(9%)、マンションなどの集合住宅に住み替えたい(5%)、戸建てに住み替えたい(2%)という結果になりました。

約9割の人が自宅に問題ありと回答、
とくにバリアフリーや老朽化が問題

Q.自宅で問題と感じていることはなんですか?

下のグラフのように自宅の問題点としては、「バリアフリーになっていない」が断トツ。次に交通や買い物の利便性。建物の老朽化、キッチンの火元や断熱の問題といった設備面を挙げる声も多く見られました。

約8割の人が「いまの自宅に住み続けたい」と回答! 専門家に聞く「長く暮らせるコツ」 2210_P033_01.jpg

約8割の人が「いまの自宅に住み続けたい」と回答! 専門家に聞く「長く暮らせるコツ」 2210_P033_02.jpg

玄関まで7段も階段があり、手すりがなく不安。1段の高さも高いのでいつまで上り下りできるか心配です。(67歳・女性)

玄関までのアプローチに段差があるのでバリアフリーにして、寝室を1階に移して1階で生活をしたいです。(74歳・女性)

自治会に入っていない人が多く、地域のコミュニケーションに不安があります。(70歳・女性)

階段が急でつらいですが、賃貸住宅なので勝手に改修ができません。(68歳・女性)

約8割の人が「いまの自宅に住み続けたい」と回答! 専門家に聞く「長く暮らせるコツ」 2210_P033_03.jpg

田舎暮らしのため、食材の宅配を利用していますが、不足時の買い物が大変です。(62歳・女性)

震災のダメージが残っていて、あちこち傷みは気になりますが、お金をかける意欲がありません。(65歳・女性)

約8割の人が「いまの自宅に住み続けたい」と回答! 専門家に聞く「長く暮らせるコツ」 2210_P033_04.jpg

築17年ですが、1部屋で手の届く範囲の広さにすればよかったと感じています。(75歳・女性)

住環境と周辺環境
2つを整えて備える

今回お話を伺った田中聡さんは、一級建築士、介護施設の施設長といった経歴に加え、自宅で義母を看取ったことなどの経験から、自宅を居心地よく、安心できる場所にするための情報発信をしています。

「自分らしく、ストレスなく暮らすなら、慣れた自宅がいちばん。まずは、住環境を整えることが安心して暮らすための第一歩です」(田中さん)

大規模なリフォームは難しいとしても、築年数がたっているなら耐震補強を最優先に。

さらにバリアフリーや断熱性といった家の基礎力もアップしておきたいものです。

リフォームの公的補助を活用したり、家具の配置を変えるだけで住み心地も、安全性もよくなることがあります。

「困ってからではなく、元気なうちにとりかかることも大事。そして地域や家族とのつながりを深め、備えること。それが自宅で長く暮らすコツです」

取材・文/石井信子 イラスト/カトウミナエ

 

<教えてくれた人>

終の住処 設計企画 終の住処コンサルタント
田中 聡(たなか・さとし)さん

一級建築士、介護福祉士、福祉住環境コーディネーター1級。大手ハウスメーカー勤務、介護施設の施設長などを経て現職に。著書に『施設に入らず「自宅」を終の住処にする方法』(詩想社新書)がある。

この記事は『毎日が発見』2022年10月号に掲載の情報です。
PAGE TOP