湿度が高い日本においてダニがいるのは当たり前。そして夏はダニの繁殖期です。近年、アレルギーになる人が増加傾向にある中、その原因となるダニ対策が重要になります。今回は、NPO法人東京アレルギー・呼吸器疾患研究所所属の白井秀治(しらい・ひではる)さんに「効率的にダニをアタックするふとんのお手入れ」についてお聞きしました。
【前回】夏はダニの繁殖期! 家の中で「ダニが多いところトップ5」をチェックして、効果的な対策を
効率的にダニをアタック
ふとんのお手入れ5カ条
1.「乾燥」でダニがすみにくい環境にする
週に1度は「天日干し」か「ふとん乾燥機」
ダニは乾燥した状態が苦手。ふとんの湿気を少なくすることで増殖を防ぐことができます。
できれば週に1度はふとんを干したり、ふとん乾燥機にかけたりして乾燥を心がけます。
何もしなければ6週間後には150倍に
ダニは条件がいいと4週間程度で卵から成虫になります。成虫となったメスは卵を産み数が増えます。チリダニ(コナヒョウヒダニ)を温度25度、湿度75%の環境下でエサと一緒に培養(出典︰白井)
●天日干し
天日干しで全てのダニを死滅させることはできませんが、乾燥させるとダニの動きが鈍くなります。早朝や日没近くの湿度が高い時間帯を避けて、裏表をひっくり返して両面に日を当てます。
POINT:10~15時までに。裏表をひっくり返す
ふとん叩き後には掃除機を
天日干しした後のふとん叩きはダニ対策としては不十分。叩いた後は、表面のホコリやダニは掃除機で吸い取ります。
●ふとん乾燥機
ダニは「温度55度で30分」さらされると多くが死滅するので、ふとん乾燥機はダニ退治に威力を発揮します。裏表をひっくり返すとより効果的。天日干しできないベッドのマットレスにもおすすめです。
POINT:裏表ひっくり返して30分以上
季節の変わり目は念入りに
3カ月に1度の季節の変わり目は、全体に熱風が当たるようふとんの位置を変えながら念入りに乾燥させます。
2.掃除機でダニのフン&死がいを吸い取る
アレルギーの原因となるフンや死がいの除去を
家の中で繁殖するダニの6~9割を占めるのが「チリダニ」。そのフンや死がいがアレルギ
ーの原因になります。エサとなる人のフケやあかも一緒に掃除機で吸い取りましょう。
《肉眼で見えないほど小さいダニ》
十円玉の鳳凰の上にいるのがチリダニ。大きさは0.3~0.4mmくらいで肉眼では見えにくく、フンや死がいはさらに小さい。(写真提供:白井秀治)
週に1度は掃除機がけを
天日干しやふとん乾燥機の後は掃除機がけを。ふとんの表面にノズルを押しつけず、密着さ
せた状態でゆっくりと1平方メートルあたり20秒くらい。天日干しができない場合も1週間に1度は掃除機がけがおすすめです。
POINT:1平方メートル(ふとん半分)あたり20秒が目安
【ふとん専用ノズルがおすすめ】
普通の掃除機ノズルだと生地を吸い込み、布を傷めることがあるので、ふとん専用ノズルがあると便利。2000~3000円くらい。
3.シーツ類は水でダニを洗い流す
週に1回、シーツや枕・ふとんカバーを洗濯
ダニのフンや死がいは水で洗い流すことができるので、洗濯は効果的。敷きぶとんや掛けぶとんを天日干しする際などに、シーツや枕・ふとんカバーを外して洗います。1週間に1回が理想的です。
4.朝、ふとんをめくって湿気を逃がす
起きたらふとんに風を入れる
一晩でコップ1杯の汗をかくといわれています
朝起きてすぐに、押し入れにしまったり、ベッドカバーを掛けたりすると、湿気がこもったままに。起きたら掛けぶとんを半分めくって敷きぶとんやマットレスに風を当てましょう。今日は上半分、翌日に下半分というような工夫を。
【朝は空気の入れ替えを】
起きたらなるべく窓を開けましょう。ふとんの上げ下ろしで舞い上がるダニのフンや死がい、夜間の湿った空気を外に追い出すのに効果的。
5.シーズンオフはダニ対策をして収納
しまう前にふとんを丸洗い
シーズンが終わったふとんは、洗えるものは丸洗いして、ダニのフンや死がいを洗い流しておきます。大物も洗えるコインランドリーが便利。ふとんを洗えない場合は、「天日干しなどで乾燥→掃除機で吸い取る」という基本のお手入れをしてからしまいます。
密閉袋で湿気をシャットアウト
季節外のふとんは圧縮袋のようなジッパー付き密閉袋に入れてしまうと湿気を吸いにくくなるのでおすすめ。圧縮しなくてもOKです。湿度が高い日は、中の湿度も上がるので、天気のいいからっとした日に作業を。
ダニ対策をしてからしまうと、保管中のダニの増殖を抑制することに役立つと考えられます。
取材・文/米原晶子 イラスト/しまだなな