食べ切れなかったピーマンは冷凍しておくと、1カ月ほど長持ちします。しかし、ただ冷凍すればよいわけではありません。冷凍庫に入れる前にひと手間を加えることで、さっと使える便利な冷凍野菜に変身します。今回は、ピーマンの鮮度をキープできる冷凍保存のテクニックと、冷蔵庫の野菜室で保存するときのコツを紹介します。正しい保存方法を知れば、ピーマンをたくさん買ったときも困らなくなるはずです。ぜひ参考にしてください。
ピーマンを冷凍保存する4つのメリット
ピーマンを冷凍すると長期保存が可能になるだけでなく、調理の時短や節約にもつながります。
また、ピーマンが苦手な人でも食べやすくなるというメリットも!
ここでは、ピーマンを冷凍保存する4つのメリットについて解説します。
【メリット1】冷凍なら最長で1カ月ほど長期保存ができる
ピーマンを冷蔵庫の野菜室で保存した場合、季節にもよりますが2週間ほどは日持ちします。
ただし保存方法がおざなりだと水分が抜けてしまい、皮がしんなりしてツヤのない状態になってしまいます。
こうなると、ピーマンのシャキッとした食感はもちろん、独特の味や香りも楽しめません。
なるべく新鮮なうちに冷凍してしまえば、保存期間を1カ月程度に延ばせます。
もし1週間以内に食べる予定がないのなら、冷蔵ではなく冷凍するのがおすすめです。
【メリット2】ピーマン特有の苦みやにおいが弱まる
ピーマン特有の苦みやにおいが苦手な場合も、冷凍保存がおすすめです。
冷凍にする前に、ピーマンを横ではなく縦に細く切るようにしてください。
ピーマンの苦みの原因はアルカロイド、においの原因はクエルシトリンという成分です。
繊維を潰さないよう縦に刻むことで、苦みやにおいを軽減できます。
軽く茹でてから冷凍すれば、さらに効果的です。
また、クエルシトリンには油に溶けやすい性質があります。
調理する際に油で炒めるようにすれば、ピーマンの苦みやにおいはほとんど気にならなくなるでしょう。
ぜひ試してみてください。
【メリット3】ピーマンに含まれるビタミンCをキープできる
ピーマンは、カロテンやビタミンCを多く含む野菜です。
ビタミンCの含有量は可食部100g当たり76mgで、ビタミンCが豊富なことで知られるレモン果汁(50mg)やいちご(62mg)よりも多く含まれています。
冷凍や加熱による含有量の変化も気になるところでしょう。
まず、冷凍によってビタミンCが急激に失われることはありません。
一方で、熱に弱いビタミンCは加熱調理で失われがちとされていますが、ピーマンに含まれるビタミンCには加熱しても壊れにくいという特徴があります。
文部科学省の「食品成分データベース」によると、青ピーマン100g当たりのビタミンC含有量は生食で76mg、油いためでは79mgです。
このことからも、加熱後にビタミンCがたっぷり残っていることが分かります。
【メリット4】節約や時短につながる
ピーマンは一年を通じて販売されていますが、夏に旬の季節を迎えます。
この時季にはおいしいピーマンが安く出回るため、多めに購入して冷凍保存しておくのがおすすめです。
ストックしておけば欲しいときにすぐ使えますし、安く購入できれば節約にもなります。
カットした状態で小分けにして冷凍すれば、必要な分だけ使えるので便利です。
またピーマンを刻む手間が省けるので、調理の時短にもつながります。
ただし冷凍すれば長持ちするとはいえ、何カ月も保存できるわけではありません。
保存状態にもよりますが、大体1カ月程度を目安にして食べ切るようにしましょう。
ただしピーマンの冷凍保存にはデメリットも!
ピーマンを冷凍保存すると、生に比べて食感や風味が落ちてしまいます。
そのため、ピーマンが好きな人は物足りなさを感じるかもしれません。
解凍後はしんなりするので、サラダやチンジャオロースなど食感を楽しむ料理には不向きです。
みそ炒めのような味付けの濃い料理や、じっくり火を通す肉詰め、焼きそばやナポリタン、ピザの具材などに使うようにしてください。
ピーマンを冷凍保存する方法は2つ
ピーマンを冷凍保存する方法はとても簡単で、生のまま冷凍するか、加熱してから冷凍するかの2通りです。
ここからは、それぞれの手順とコツを解説します。
■ピーマンを生のまま冷凍する
生のピーマンは丸ごと冷凍するのではなく、カットしてから冷凍します。
傷みやすい種やワタを取り除いておかないと、せっかく冷凍しても長持ちしません。
生のピーマンを冷凍する場合は、次のような手順で処理してください。
1.水洗いしてからヘタや種などを取り除く
2.適当な大きさに切り分ける
3.キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取る
4.重ならないように冷凍用保存袋に入れる
5.できるだけ中の空気を抜いて密閉してから冷凍庫に入れる
ピーマンは水気に弱いので、保存袋に入れる前にしっかりと水分を拭き取ることがポイントです。
またカットするとき、レシピに合わせて切り分けておくようにしましょう。
肉詰め用に半分にカットしたもの、炒めもの用に乱切り、焼きそばなどの具材用に細切りなど、分けて保存しておくと調理するときに便利です。
なお、しっかり凍った細切りピーマンは、保存袋の上から叩いたりもんだりすれば簡単にみじん切りに近い状態にできます。
■ピーマンを加熱してから冷凍する
野菜などを冷凍する前に軽く下茹ですることを「ブランチング」といいます。
ブランチングには冷凍後の変色を防ぐ効果や殺菌効果があり、冷凍野菜の製造工程で用いられている手法です。
ピーマンの場合は、苦みやにおいを軽減する効果もあります。
ブランチングの手順は次の通りです。
1.鍋に湯を沸かし、沸騰したら塩をひとつまみ入れる
2.カットしたピーマンを入れ、10~30秒ほど茹でる
3.ざるにあげて冷水で一気に冷やす
4.水気を切り、キッチンペーパーでしっかり拭き取る
このあとの処理は生のまま冷凍する場合と同じです。
保存袋の空気をできるだけ抜いてから冷凍するようにしてください。
冷凍したピーマンの解凍方法は?
冷凍したピーマンを自然解凍させると、水分が出てぶよぶよした状態になってしまいます。
基本的には凍ったままで他の具材と一緒に加熱調理しますが、肉詰めを作る場合は凍ったままだと調理しづらいかもしれません。
その際は、湯通しや電子レンジで軽く解凍してから使うとよいでしょう。
なお、ブランチングしてから冷凍したピーマンは、和え物など加熱しない料理に使用できます。
同じく湯通しや電子レンジで軽く解凍して調理してください。
ピーマンを冷蔵保存する方法
冷凍するまでもなく食べ切ってしまうという場合も、ピーマンの新鮮な状態をキープできる冷蔵方法を覚えておきましょう。
まず、スーパーなどで買ってきたままの袋詰めの状態で冷蔵庫に入れるのはNGです。
次のようにひと手間かけることで、2週間程度の保存が可能になります。
1.袋から出して水洗いする
2.キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取る
3.キッチンペーパーで1個ずつ包み、食品用ポリ袋に入れる
4.袋の口を軽く結んで冷蔵庫の野菜庫に入れる
ピーマンは水分に弱いため、くっついた状態だと傷みやすくなってしまいます。
キッチンペーパーで包むのは、直接触れ合うのを避けるためです。
買ってきたままの状態で保存するよりも傷みのスピードは遅くなりますが、なるべく早く食べ切るようにしてください。
おいしいピーマンを冷凍保存して便利に使いこなそう
ピーマンはカロテンやビタミンCを豊富に含む優秀な野菜です。
鮮やかな緑色が料理を引き立ててくれるため、お弁当などに欠かせないという人も多いでしょう。
ただし、独特の苦みやにおいがあり、ピーマンが苦手な子どもは少なくないようです。
ピーマンの苦みやにおいは、冷凍保存することで感じにくくなります。
その他にも、冷凍することで保存期間を延ばせる、調理時間を短縮できるなどのメリットがあります。
ピーマンが安いときにまとめて購入して、冷凍しておいてはいかがでしょうか。