健康な肌細胞の再生には血流などの体内の機能、栄養バランスが欠かせない/老けない人が食べているもの

老化スピードは食べているもので変わることを知っていましたか? 「一番お金も手間もかけずにできる老化対策が食事」だと美腸・美肌評論家として活躍する内科医の工藤あき先生は話します。その先生の著書『老けない人が食べているもの』(アスコム)から、老化を早める4大ポイント、その原因と対策をご紹介します。

【前回】肌荒れやニキビは乱れのサイン。食生活を気づかうだけで肌もスーッと整う/老けない人が食べているもの

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そもそも食べたものがどうして細胞に変わるの?

あなたが今日、食べたもの、これから食べるものを想像してみてください。

「ああ、この食べものがこうやって私の細胞になるんだ」

そう思うと、この本で紹介する老けない食べものも、より納得して食べられるようになるはずです。

具体的な食べものが早く知りたい!という方は、飛ばしてしまっても大丈夫ですから、好きなところから読んでください。

では始めましょう。

コラーゲンを食べると肌がプルプルになる、という話を聞いたことがあると思います。

一時期、コラーゲン鍋などが大人気でしたが、本当にそれで肌がプルプルになるのでしょうか?

皮膚の大部分はコラーゲンでできていますから、コラーゲンがプルプル肌のもとであることは確かです。

でも、コラーゲンを含む食品をたくさん食べたからといって、肌にコラーゲンがそのまま直送されるわけではありません。

塩分や水分などは分子(サイズ)が小さいのでそのまま吸収されます。

でも、たとえば炭水化物や肉・魚などに含まれるタンパク質(コラーゲンもタンパク質の一種です)は、分子が大きいのでそのままでは吸収することができないのです。

だから私たちには「消化」の仕組みが備わっています。

私たちがモグモグと咀嚼して飲み込んだ食べものは、唾液や胃液、すい液などの消化液で溶かされ、ブドウ糖やアミノ酸、脂肪酸など、細胞の再生に必要な栄養成分に分解されます。

たとえば、ブロックのおもちゃを想像してください。

コラーゲンの形をしたブロックが、一度バラバラに分解されるイメージです。

そうしてバラされたブロックが、またいろいろな形に組み変わる材料になります。


食べたものは分解されて小腸へ

私たちが食べたものは、消化液で溶かされ、ブドウ糖やアミノ酸、脂肪酸などの栄養成分に分解されます。そして、小腸の粘膜から体内に吸収され、肝臓へと運ばれていきます。吸収・貯蔵されなかった残りカスは、便として排出されます

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小腸の内側の壁には無数のヒダがあり、「絨毛」というごく小さな突起でおおわれています。小腸まで送られて来た栄養は、この柔毛の毛細血管やリンパ管から取り込まれ、肝臓・心臓・血管に集められます。ブドウ糖やアミノ酸は毛細血管を経由して、血流にのって全身の細胞へと運ばれていきます。


血液が細胞の材料の運び屋

分解された栄養成分は、小腸の粘膜から体内に吸収され、肝臓へと運ばれていきます。

そして肝臓から血液中にとり込まれます。

血液は、心臓というポンプによって毎分約5リットルが勢いよく送り出され全身をめぐります。

その血流にのって、栄養成分がからだのすみずみにまで配達されるのです。

血のめぐりというのはとても合理的に機能していて、細胞をつくるための材料や新鮮な酸素を届けると、代わりにいらなくなった古い細胞のカスや二酸化炭素を回収して肺に持ち帰ります。

血流が悪くなると、栄養がうまく全身に運ばれず、老廃物がたまりやすくなります。

そうすると肩こりや関節痛が起きたり、肌の不調が表れたり、やがては動脈硬化、脳梗塞などにまでつながるのです。

私たちにとって、いかに血流が大事なのかがよくわかりますね。


血流がいいと細胞も元気に

太い血管から極細の毛細血管まで、全身の血管を1本のホースのようにつなぐと、全長は約9万km。地球を約2周半できるくらいの長さになります。その血管のほとんどは髪の毛よりも細い直系7ミクロン(1ミクロンは1/1000mm)の毛細血管であり、私たちの指先の皮膚のすぐ下まで、くまなく張りめぐらされて栄養と水分を運んでくれています。

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うまく細胞がつくれないとどんな肌ケアも台なし

皮膚の細胞の製造工場は、基底層だと話しました。

その基底層に、細胞の材料である栄養成分を最後に渡すのは、全身に網の目のように張りめぐらされている毛細血管です。

このように、私たちが食べたものは、胃や腸で分解されながら吸収されて、肝臓に運ばれ、細胞の栄養として使えるサイズになって、皮下に張りめぐらされた毛細血管を通じて供給されます。

このメカニズムを知ると、質のいい皮膚の細胞をつくり続けるためには、毎日の食事で良質な栄養を十分にとる必要があるというのも、納得です。

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毎日の食事で良質な栄養をしっかり摂取できていれば、きれいな肌をつくる材料がそろっているので、肌コンディションもよくなります。

反対に、栄養が不足したり、肌のためによくない食事が続いたりすると、健康な肌細胞の再生がとどこおり、皮膚トラブルの原因になります。

皮膚のターンオーバーを促して、いつまでも若々しさを保つキーポイントは、やはり食べもの。

そして食べものの栄養がしっかりと消化されて届けられること。

どんなに高価な化粧品やクリームを使っても、美容治療を受けても、土台になる細胞がうまくつくれなければ、台なしです。

質のいい食事をしっかりとり、生活リズムを整え、きちんと消化吸収して細胞を正しく生まれ変わらせる─それが、からだも肌も若々しく保つカギです。

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全5章にわたって酸化や糖化など「老化を早める4大ポイント」ついて理由や食事改善などをわかりやすく解説

 

工藤あき

消化器内科医、美腸・美肌評論家/内科医として地域医療に従事するほか、腸内細菌・腸内フローラに精通。「腸活×菌活」を生かしたダイエット・美肌・エイジングケア治療に力を注ぐ。「植物由来で内面から美しく」をモットーに日本のインナーボタニカル研究の第一人者として注目されている

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『老けない人が食べているもの』

工藤あき/アスコム

「むき卵肌ドクター」の愛称で親しまれ、美腸・美肌評論家としても活躍する内科医の新書。酸化や糖化、細胞のターンオーバーの乱れ、胃腸の不調という「老化4大ポイント」をわかりやすく綴っています。食事を中心に日常から取り組める老化対策のアドバイスも。

※この記事は『老けない人が食べているもの』(工藤あき/アスコム)からの抜粋です。

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