髪、肌の老化が気になる女性に。若々しさを取り戻すミネラル「亜鉛」の力とは⁉

今、医師や管理栄養士の間で「亜鉛」が注目されているんです。「病気しやすい」「やる気がなくなる」...こんな悩みの原因に「亜鉛不足」があり、日本人の約10〜30%が「亜鉛」欠乏状態と言います。そこで、医師の平澤精一さんと管理栄養士の岸村康代さんによる『長生きの切り札! 亜鉛チャージ健康法』(アスコム)から、お二人が提案する「亜鉛チャージ健康法」をご紹介します。

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子どもから高齢者まで。亜鉛不足があらゆる不調の原因に

亜鉛が不足すると、体にどのような影響が出るのか、もう少し具体的にお話ししましょう。

私はこれまで、長い医師生活の中で、亜鉛不足による体の不調や病気を抱える、たくさんの患者さんを診てきました。

たとえば、ある50代の男性の患者さんは、それまでバリバリ働いていたにもかかわらず、数年前から急激に疲れやすくなり、食欲も低下。

外見的にも、シワや白髪が増えるなど、一気に老け込んでしまい、人と会うことがおっくうになってしまったそうです。

ご本人もご家族も、原因がわからずに悩んでいたのですが、たまたま奥さまが、週刊誌で私のクリニックの記事を読み、患者さんとともに来院。

血清亜鉛値(血液中の亜鉛濃度)を測定すると、基準値を下回っていたため、食事や亜鉛製剤によって亜鉛を補ったところ、症状が改善し、今は毎日、元気に過ごしていらっしゃいます。

ほかにも、「イライラしやすくなった」「病気にかかりやすくなった」という患者さんの検査をしてみると、血清亜鉛値が著しく低かったというケースは、枚挙にいとまがありません。

亜鉛は、細胞のDNAの複製やタンパク質の合成に関わっており、亜鉛の働きのおかげで、体中の細胞の新陳代謝が促され、古くなったタンパク質が新しく生まれ変わります。

そのため、亜鉛が不足すると、皮膚、爪、毛髪、骨、血液などの生まれ変わり(生成)や成長が妨げられ、糖や脂肪などの代謝も悪くなり、

・肌荒れや湿疹、皮膚炎、口内炎などが起こりやすくなり、爪が割れやすくなる

・傷が治りにくくなる

・髪のコシがなくなり、抜け毛が増える

・赤血球が減り、貧血を起こしやすくなる

・血管が弱くなり、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などのリスクが高くなる

・体に脂肪がつきやすくなる

・骨粗しょう症になりやすくなる

・食べ物の味がわからなくなる[舌の味蕾(みらい)細胞の代謝が悪くなるため]

・子どもの場合、発育が悪くなり、身長が伸びにくくなる

といった、さまざまな影響が生じますし、亜鉛不足が「疲れやすい」「眠れない」といった 「ちょっとした体の不調」の原因になっていることも少なくありません。

また、亜鉛には、体に有害な活性酸素を除去したり、免疫細胞の働きを活発化させたりする作用がありますが、亜鉛が不足すると、がん細胞や体内に入り込んだ異物・ウイルスなどを駆除することができにくくなるため、体調を崩したり、感染症や重篤な病気にかかったりする可能性が高くなります。

さらに、亜鉛は、血糖値を下げるインスリンの生成や、肝臓でアルコールを分解する酵素にも関わっているため、亜鉛不足に陥ると、糖尿病や慢性肝疾患などのリスクも高まります。

亜鉛不足の影響は、意外なところにも表れます。

男性の精巣や精液の中には亜鉛が多く含まれており、亜鉛不足は精子不足や男性不妊につながりますし、女性の場合も、亜鉛が不足すると、ホルモンや卵巣の働きが悪くなり、生理不順などの原因になると考えられています。

加えて、妊娠中の女性が亜鉛をちゃんと摂取していないと、アトピー性皮膚炎などのアレルギーを持った子どもが生まれてくる可能性が高いといわれていますし、乳児の母親が亜鉛不足に陥っていると、母乳が低亜鉛状態になるため、その母乳から栄養を摂る乳児にも、皮膚炎が起こる、身長の伸びや体重の増加が芳しくないといった亜鉛欠乏症の症状が生じることがあります。

しかし、あらゆる世代の中で最も亜鉛不足に陥る可能性が高く、亜鉛不足の症状が深刻化しやすいのは、やはり高齢者の方だといえるでしょう。

高齢者の場合、若いころに比べて胃腸の働きが弱くなり、食事の絶対量が減ったり、さまざまな栄養素の吸収率も下がったりするため、どうしても亜鉛の摂取量が少なくなります。

すると、加齢による代謝の低下に、亜鉛不足による代謝の低下が加わって、肌や髪、骨、血管、内臓機能などがより衰えやすくなり、外見の老化が進む、健康面でさまざまな問題が生じるといったことが起きやすくなってしまいます。

また、亜鉛は、記憶や学習をつかさどる「海馬」をはじめ、脳のさまざまな部位にも含まれており、亜鉛が不足すると、精神的に不安定になる、記憶力が低下するなど、老人性うつや認知症のような状態を引き起こすこともあります。

高齢者の中には、外見の老化が目立つようになると、あるいは心身の不調が増えて病気がちになると、外出することがおっくうになり、ひきこもりがちになる方もいらっしゃいますが、それによって、脳や心の状態はますます悪くなってしまいます。

このように、特に高齢者において、亜鉛不足は、ときに心身の健康に大きなダメージを与えることがありますが、食生活の見直しや亜鉛製剤の投与による治療を行い、亜鉛不足を解消することで、こうした症状が改善されることも少なくありません。

なお、厚生労働省が2019年7月に公表した簡易生命表によると、2018年の日本人の平均寿命は男性が81.25歳、女性は87.32歳と、過去最高を更新しました。

一方で、やはり厚生労働省が発表した2016年の日本人の健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)は、男性が71.19歳、女性が74.21歳であり、両者の間には、男性10.06年、女性13.11年もの開きがあります。

超高齢化社会を迎え、医療費や介護費の増大が問題視されている今、社会のためにも、もちろん個人の幸福のためにも、私たち一人ひとりに 「できるだけ健康を維持し、健康寿命を延ばすこと」 が求められています。

そしてそのためにも、「日々の食事を通して亜鉛をしっかりチャージすること」は必要不可欠なのです。

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身近な食材で最強ミネラル・亜鉛を取れる「亜鉛チャージ健康法」を4章に渡ってまとめ、54のメニューも合わせて公開しています

 

平澤精一(ひらさわ・せいいち)
医師として健康長寿に深く関わる「テストステロン」の長年研究し、「熟年期障害」の治療、高齢者の健康を守る取り組みを数多く実践している。現在では新宿区医師会会長を務め、数々の委員や役員を歴任。2014年から東京医科大学地域医療指導教授として医学生の教育にも幅広く関わっている。

岸村康代(きしむら・やすよ)
管理栄養士として、これまで落とした脂肪の合計は10トン以上にのぼるダイエット・アドバイザー。高齢者に対する健康的な食生活支援をテーマにした活動も積極的に行う。管理栄養士や野菜ソムリエ上級プロなどの資格を活用し、忙しい大人のための健康を助ける商品の開発や監修も手がける。

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『長生きの切り札! 亜鉛チャージ健康法』

(平澤精一、岸村康代/アスコム)

亜鉛の働きや効果などを共著の一人である医師が丁寧に解説し、その亜鉛を普段からどう食事で取り入れたらいいのかをもう一人の著者である管理栄養士が幅広く紹介してくれる一冊。日本人に不足しがちな亜鉛を日常的に効率よく摂取できる方法を指南し、54品のレシピも掲載している保存版です。

※この記事は『亜鉛チャージ健康法』(平澤精一/岸村康代/アスコム)からの抜粋です。

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