"ますらお"には「強く堂々とした、立派な男子」の意味があります。筆者である元・陸上自衛官のぱやぱやくんは、自衛隊の教育機関にいた頃、「ますらお至上主義者」と出会い、感じました。まさに「陸上自衛隊=ますらお」であると! 恋愛模様や気合いの洗濯など、普段はなかなか知ることのできない陸上自衛官のリアルを赤裸々に描いた『陸上自衛隊ますらお日記』(KADOKAWA)。ますらお達の愛とユーモアに溢れた世界をのぞいてみませんか?
※本記事はぱやぱやくん著の書籍『陸上自衛隊ますらお日記』から一部抜粋・編集しました。
【前回】合コンでほふく前進の話をしてしまう悲しい自衛隊員たち...でも、恋人ができると!?/ますらお日記
結婚はますらおにとっても一大イベント
結婚については一般の方にとっても一大イベントですが、ますらお達にとってはさらに重要なイベントになります。
3等陸曹に昇任をしている隊員については、結婚をすると駐屯地の外に居住することができるからです。
入隊から数年間、おはようからおやすみまで駐屯地内でぐるぐる生活していた隊員にとって、これはまさにビッグイベントです。
今まで平日にラーメン屋や居酒屋に気軽に行けなかったのに、アフター5には好きなだけ行けるようになり、今までなかなか会うことのできなかった恋人と、おはようからおやすみまで一緒にいることができるのです。
もう居酒屋でベロベロに酔っぱらった後、「○○ちゃんのことが好きだよぉ~」と電話で伝える必要はありません。
ただ、階級が陸士長の場合は、結婚しても駐屯地の外で暮らすことはできません。
そのため、結婚を考えている隊員は死に物狂いで昇任試験に挑みます。
あまりやる気のなかった隊員も可愛い彼女ができると猛烈な勢いで成長し、「俺を見よ! 俺に続け!」と言って敵陣に手榴弾を投げ込み、突撃するようになります。
愛のパワーは本当に素敵です(これを巷では死亡フラグというようですが)。
褌で神輿、白鳥の舞... ... 謎の余興が繰り出される結婚式
ますらお達の結婚式は、また独特です。
昨今では結婚式をやらないカップルが増えてきていますが、自衛官は大抵行います。
新郎側の席には部隊長、部隊の先輩・後輩、同期が真っ黒なスーツで押し寄せ、会場で「この前の演習はキツかった」や「今どこの部隊にいるの?」といったますらおトークを相変わらずしています。
結婚式が始まると部隊長が恭しい挨拶をし、余興で同期達が褌姿で自作の神輿を担いだり、白鳥の舞を披露したりしてくれます。
こうした余興に新郎側は大盛り上がりになりますが、新婦側はカルチャーショックで静まり返った雰囲気となります。
また、部内結婚で職種が違った場合は「通信科のインテリどもに、施設科の宴会芸を見せてやる」と結婚式そっちのけで熱い余興バトルが展開されます。
2次会に移行すると、新婦側の女の子達と仲良くなりたいますらおがたくさん来ます。
しかし、色々察した女の子達は2次会に来ないことも度々あるので、結局男同士でどんちゃん騒ぎをすることもよくあります。
新郎新婦は大抵2次会で帰りますが、残ったますらお達はまだまだ飲み足りない、騒ぎ足りないので「3次会に行くか!」「4次会に行くか!」と続いていき、もはや「酒を飲めればいい会」になりがちです。
こうして温かく祝福されたますらおは、新しい生活に旅立っていくのです。