痩せようと運動をしても、年齢とともに痩せにくくなるのは困ったもの。なぜ痩せないのか?――そんな疑問に、医学博士の牧田善二さんは「痩せられないのは、糖質中毒のせい」と最新刊『糖質中毒 痩せられない本当の理由』(文藝春秋)で断言する。私たち現代人の多くは糖質に囲まれた日常の中で糖質の摂取がやめられない「糖質中毒」に陥っており、中毒を治さない限り本質的な肥満解消は難しいというのだ。ちなみに牧田さんはベストセラー『医者が教える食事術 最強の教科書』の著者でもあり、糖尿病をはじめとする生活習慣病・肥満治療のための「AGE牧田クリニック」院長。これまで延べ20万人以上の患者を診てきた実績から本書を書いたというだけに信頼できる。
著者によれば、肥満になる原因はカロリーではなく「糖質」。食べる量を減らしたり激しい運動をしたりするだけでは効果がないのはそのためで、本当に効果的なのは「糖質」とは何かを理解し、適切な摂取をこころがけることだという。だが現代社会は甘い清涼飲料水やスナック菓子などそこら中に糖質が溢れており、気をつけないと糖質を摂りすぎてしまう。しかも糖質は摂れば摂るほど脳が渇望するようになるため、いつのまにか糖質がやめられない「糖質中毒者」になっている人も多いというのだ。「糖質は、あなたが考えているよりも遥かに恐るべき物質です。糖尿病に縁のない健康な人でも、簡単に糖質中毒になります。そして、それによって太ることはもちろん、知らぬ間に健康を著しく害します」と著者。
もしかしたら自分も危ない?――気になった方は本書で詳しく糖質について理解を進めよう。本書は糖質についての基礎知識や、なぜ糖質中毒になってしまうのかというメカニズムを詳細に解説した上で、糖質中毒の治し方を指南してくれる。「理解」した上で取り組むことが中毒を治す道とのことで、著者を信じて読み進めるべし(こわい事実もたくさん書いてあるが、もちろん希望もある!)。
ちなみに糖質中毒や肥満から抜け出すには、やはり食事法が大きなカギとなる。詳しいメカニズムは本書できちんと確認してほしいが、肥満は「血糖値が大きく上がると、膵臓から大量のインスリンが分泌され、余ったブドウ糖を中性脂肪に変え脂肪細胞に取り込む」ことで起きるため、普段から血糖値が大きく上昇しないような食生活が大事になってくるのだ。そのために以下のような知識は基本中の基本だ。
1.血糖値を上げない「食べ物」とは?
野菜(根菜は除く)やキノコ、海藻、豆類、肉、魚、豆腐など
(本書には「食品に含まれる糖質量」リストがあるので参考にしよう)
2.血糖値を上げない「食べ方」とは?
炭水化物のみで食べず、脂質やタンパク質と一緒に食べる
炭水化物を食べる前に、食物繊維の多い野菜などを食べておく
なお「自分は太ってないから大丈夫」と思っている方も、糖質中毒には用心したほうがいい(実は痩せている若い女性にもスイーツ好きで糖質中毒者になってしまった人は多いとのこと)。現代社会をサバイブするためにも、本書を読んでみることをおすすめしたい。
文/荒井理恵