よく耳にする「SDGs」の意味とは? 未来を守るために私たちができること

最近、よく耳にする「SDGs」という言葉。何を意味しているのか、いまひとつ分からない人も多いのでは? 地球温暖化問題とともに語られることが多いですが、他にも私たちの生活の中でできることがあるかもしれません。今回は、金沢工業大学 准教授 SDGs 推進センター長の平本督太郎(ひらもと・とくたろう)先生に「『SDGs』の意味」についてお聞きしました。

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最近、テレビや新聞で「SDGs」という言葉を目にする機会が増えました。

ただ、この言葉が意味することを完全に理解しているという人は多くはないかもしれません。

地球温暖化の問題とともに語られることが多いため、二酸化炭素の排出削減にまつわる何かだと受け止めている人もいるのではないでしょうか。

SDGsはサステナブル・ディベロップメント・ゴールズの英語の頭文字を取った略称で、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」です。

SDGsを研究している平本督太郎先生は「直訳だと分かりづらいのですが、もう少し言葉を補足して『私たちがこれからずっと発展して幸せになっていくために達成していく目標』とすると、イメージしやすいと思います」と話します。

つまりSDGsとは、私たちや将来の世代がこれからも地球で幸せに暮らしていくために達成しなければならない目標で、「国連に加盟する世界193カ国が2030年までに達成すべきものとして合意しています」(平本先生)。

将来の世代が幸せに暮らせる地球を、と聞くと環境問題が思い浮かびますが、それだけではありません。



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SDGsには上の一覧にある17の達成すべき目標と、169のターゲット(具体的な活用や数値目標)が設定されています。

SDGsは環境問題だけに留まらず、貧困や飢餓、経済活動など、誰かの自由を侵害するかもしれない問題についても達成すべき目標を設定しています」と、平本先生。

平本先生はその理由を「ヨーロッパには元々『私たちが自由を勝ち取り、幸せになっていくために活動しよう』という、つまり人権を守ろうとする考え方が根付いているのですが、SDGsはそれが基になって発展したものです」と説明。

さらに「地球の環境や貧困、食糧問題などは、SDGsの17の目標を2030年までに達成できなければ、手遅れになってしまうかもしれないのです」と続けます。

実は01年にも国連は、ミレニアム開発目標(MDGs-エムディージーズ)を策定し、極度の貧困の撲滅など達成すべき8つの目標を掲げて活動を行い、ある程度の成果を収めてきました。

「ただMDGsは先進国が主導するものでした。その後、先進国が主導するのではなく、世界全体で地球の将来を考えようという動きに変わり、それがSDGsにつながっていったのです」(平本先生)

このような大きな動きに対し、私たち個人でもできることがあるそうです。

平本先生は「SDGsは、国や企業はもちろんのことながら、個人でも『自分ごと』に結びつけやすいように、身近な問題も取り上げられているのが大きな特徴です」と指摘します。

では私たちは日常生活の中で何ができるのでしょうか。

「自分の好きなことを中心に何ができるかを考えましょう。そうでなければ、無理やりさせられているという感覚が生まれてしまいます。自分の好きなことに関係する活動を行うことで他の人の自由も守れる、ということが大事なのです」(平本先生)


私たちができること

1.自分の好きなものの背景を考えましょう

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まず、自分の好きなことは何かを考えてみましょう。「もしファッションが好きなら、ウインドーショッピングをしているとき、気に入った服が作られている背景を考えてください。甘い物を食べるのが好きなら、自分の好きなチョコレートがどのような地域で、どのような人によって作られているのかを想像してみてください」と、平本先生。

2.注意したいのは誰かの自由を侵害していないか

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「気に入った服が、東南アジアの子どもたちが涙を流しながら作った生地でできていないか、あるいは好きなチョコレートがアフリカの子どもたちが安い賃金で栽培したカカオからできていないか、という点に注意してみてください」(平本先生)。自分の好きなものが、自由を奪われた誰かの上に成り立っている可能性があるのです。

3.誰かの自由を守ることにつながる選択を

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「服がどのように作られたのかについてファッション雑誌が特集を組んだり、児童労働がない地域で採れたカカオを使ったチョコレートなのかどうかを調べて買ったりもできます。そのような商品でも、10~15年前と違って本当にすてきな服やおいしいチョコレートが増えてきています」と、平本先生。日々の選択が、SDGsの達成につながるのです。


具体的には、上の図の流れで考えるといいそうです。

私たちや将来の世代がこれからもずっと発展して幸せになっていけるように、目の前のできることから取り組んでいきたいですね。

取材・文/仁井慎治 イラスト/やまだやすこ

 

<教えてくれた人>

金沢工業大学 准教授 SDGs 推進センター長
平本督太郎(ひらもと・とくたろう)先生
1979年生まれ、東京都出身。経営コンサルタントなどを経て2019年より現職。著書に『10歳からの 図解でわかるSDGs「17の目標」と「自分にできること」がわかる本』(メイツ出版)など。

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この記事は『毎日が発見』2021年12月号に掲載の情報です。

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