女性が1日のうち家事にかける時間は2時間24分と言われます。30年間だと...なんと2万6280時間(丸3年間)にも及ぶんです。そんな家事を賢く手放してみませんか? 知的家事プロデューサーの本間朝子さんは、コスパのよい「AI家電」や「家事代行サービス」などを、賢く利用することを提案しています。アラフィフ世代にもぜひ知ってほしい「家事を積極的に手放す」方法を、本間さんの著書『ゼロ家事』(大和書房)より連載形式でお届けします。
ちょっとしたテクニックで、ずっとラクが続く家になる
一流の企業は、少しでも効率よく働けて、利益を上げられるよう最善の環境づくりを追求しています。
ムダのない動線や最新のOA機器を導入して作業の効率化を図る。
そんな感覚を自宅にも取り入れることをおすすめします。
まずは自宅の「家事動線」を見直してみましょう。
「家事動線」とは、料理や掃除、洗濯などをする時に人が動く通り道のことです。
この動線を「最短にすること」が、ゼロ家事への近道です。
動線を見直すというと、難しそうと思われるかもしれませんが、実は意外と簡単です。
「家事動線」には基本的な考え方があるので、それに合わせて家を調整すれば、家事の負担は大幅に減らせます。
最初は整えるのに時間がかかりますが、一度整えてしまえば、あとはずっとラクな状態が続きます。
ぜひ、思い切ってチャレンジしてください。
移動しないで家事をする
家事をラクにするには、家事をする際の移動距離を短くすることが重要という話をしました。
例えば洗濯をする場合、どれだけの距離を移動していますか?
洗濯には「洗う」「干す」「たたむ」「しまう」という4つの作業があります。
この4つの移動距離をどれだけ短くできるかが、洗濯の手間を減らす最大のポイントです。
洗濯乾燥機で「洗う」「干す」までを行い、乾いた衣類を洗濯機のそばでたたんで収納できれば、最低限の動線で洗濯を済ますことができますよね?
すべての衣類を洗濯機のそばに収納するのは難しいかもしれませんが、お風呂上がりに使うタオル、下着、パジャマをまとめて脱衣所にしまえると、移離距離が減ってラクになります。
料理の場合は、使うものを手を伸ばせばサッと取れる場所に収納することで、動線を短くできます。
理想は飛行機のコックピットです。
キッチンにはものがたくさんありますが、よく使うものは2割程度と言われています。
キッチンをコックピットのようにする近道は、次の2点です。
1.1年以上使っていない不要なものを取り除く
2.よく使う2割を出し入れしやすく収納する
また、「冷蔵庫・調理家電・ゴミ箱」の3つはキッチンの要です。
これらがシンクやコンロから離れた場所にあると、移動距離が長く非効率です。
遠い場合は、もっと近くに移動できないか試してみるのも効果的です。
このように、「自分が極力動かないで済む動線」を意識してものの置き場を変えていきましょう。
一度この視点を持つと、なんとなく動いていたためにムダを生んでいたと気づくことがたくさん出てくるはずです。
無意識に掃除が終わる動線をつくる
動線にはもうひとつ、「生活動線」があります。
「生活動線」とは、顔を洗う、入浴する、食事をとるといった基本的な生活の動きのことです。
この生活動線の中に掃除を組み込んでしまえば、暮らしの中で意識をせずに自然と掃除を終わらせることができます。
時間をつくってわざわざ掃除するより、ずっとラクに掃除が終わってしまいます。
無意識にとは、例えばこのようなことです。
・洗面台のボウル=洗顔や手洗いのついでにハンドソープを手につけ、ボウルをなでて洗い流す
・洗面台=顔を拭いたタオルでそのまま台の上や鏡を拭く
・浴室=浴室内にブラシを置いておき、体を洗ったついでにブラシにもボディソープをつけて床や壁の汚れをこする。上がる際は、浴槽を洗ってから出る
・床=就寝時、リビングにあるフロアワイパーを枕元に持って行く→翌朝起きたらそのワイパーを持ち、床を拭きながら洗面所→リビングと移動し、元の位置に戻す
・トイレ=寝る前、最後にトイレに入ったら、除菌洗浄剤をスプレーしておき、朝使う時に流す
・ゴミ出し=燃えるゴミの日は、ゴミ出しのために玄関を通るついでに玄関をさっと掃き、そのゴミもゴミ袋に入れて、一緒に捨てる
忙しい家庭では、掃除をする時間を捻出するのも大変です。
でも、生活動線にからませれば、無意識に最低限の時間で掃除を終わらせることができます。
また、そうすることで、「やらなくては」と思う心の壁も低くなり、わざわざ家事をしようという感覚がゼロになります。
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5章に渡って「AI家電」や「家事代行サービス」、「家事をラクにするテクニック」など、実践的な提案が並ぶ「人生のコストパフォーマンスを上げる」ための一冊です。