世界中から愛され続ける女優、オードリー・ヘップバーン。実は、妖精ともうたわれるその容貌に、コンプレックスを感じていたそうです。銀幕の向こう側で抱えていた葛藤、仕事と家庭の両立、死について、など彼女の言葉がまとめられた『オードリー・ヘップバーンの言葉』(山口路子/大和書房)から、現代の女性たちが共感できるオードリーの名言を連載形式でお届けします。
愛情の量
私たちはみんな愛されたいのではありませんか? だから人生のあらゆる時点で、愛情を求めているのではないでしょうか。私にも愛が必要です。愛したいし、愛されたいのです。
人が生まれながらにしてもっている愛情量というものがあるとしたら、オードリーはその量がかなり多い人でした。
それは恋愛という形の愛、家族への愛、友人への愛、そして世界中の、自分の力を必要としている人たちへの愛......さまざまな愛の形があるけれど、オードリーはそれらすべてに、惜しむことなく愛情を注ぎ、そして自分自身も、愛されることを望みました。
女優ならば日常的なこととされる、共演者とのちょっとした恋なども、例外なくオードリーにも、ちらほらとありました。
結婚は二回、離婚も二回、これに傷つきながらも彼女は、「愛し愛される」ことを中心とした人生を生きることを、最後まで諦めませんでした。
仕事か、結婚か
仕事にも恋をしているのに、彼と結婚するのは、彼に対してアンフェアだと感じたのです。
オードリー二十三歳、婚約解消をしたときの言葉です。相手はジェームズ・ハンソン、はじめての本格的な恋愛の相手で、二十一歳のときに出逢いました。彼は七歳年上で裕福な実業家の後継ぎで社交界の名士。結婚相手としては完璧といってよいでしょう。
ところが、タイミングがよくありませんでした。オードリーに幸運が降り注いでいたような時期、つまりブロードウェイの『ジジ』、そしてハリウッド映画『ローマの休日』、両方のヒロインになることが決まった時期と重なったのです。
オードリーは、「結婚したら、少なくとも一年間は仕事をすべてやめて、奥さん業に専念したい」という考えだったので、今がその時期でないことは明らかでした。
オードリーの両親は離婚していて、彼女自身、その不幸を存分に味わっていたので、自分自身の結婚には慎重だったのです。
婚約解消は、オードリーの人生を激変させることになる『ローマの休日』公開直前の出来事。
穏やかな別れで、ふたりの間には友情が残りました。
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美・愛・仕事・人生・使命の5つをテーマに、大女優オードリー・ヘップバーンが残した人生のヒントがつづられています