世界中から愛され続ける女優、オードリー・ヘップバーン。実は、妖精ともうたわれるその容貌に、コンプレックスを感じていたそうです。銀幕の向こう側で抱えていた葛藤、仕事と家庭の両立、死について、など彼女の言葉がまとめられた『オードリー・ヘップバーンの言葉』(山口路子/大和書房)から、現代の女性たちが共感できるオードリーの名言を連載形式でお届けします。
うわべだけの言葉
お世辞からは何も生まれません。
好かれることは、もちろん好きだけれど、好かれるための努力などはしない。これはオードリーの信条のひとつです。
その流れでもちろんお世辞を口にすることも少なかったのですが、他の人たちは彼女に対して、それはもう、うんざりするほどのお世辞を浴びせました。
オードリーは自分にかけられた言葉には敏感に反応し、それが真心から出ている言葉なのか、自分から何かを得るためのお世辞なのかを見極め、慎重に人とつきあっていました。
本当は、ほかにも候補がいるのに「この映画はあなたのために企画されたのです」なんて言っても、オードリーは真実を見ていたし、ビジュアルだけをひたすら讃える人にもなびきませんでした。
だから、ある種の人たちにとっては、とっつきにくい人物に映ったかもしれません。誤魔化しや、うわべだけの言葉に対する彼女の反応は、何かきついことを言うわけではないけれど、お世辞が習慣になっている人たちにとっては、見透かされているように感じさせるものが、あったからです。
細い身体の理由
ダイエットはしていません。
スリムな体形は彼女の財産のひとつでした。
けれど体重がつねに標準よりも五キロから八キロ不足していたせいか、疲れやすいところはありました。
摂食障害(拒食症と過食症)の噂はきっぱりと否定していますが、過度のストレスがあると食事が喉を通らなくなること、そして、太ることを恐れていたのは事実です。
たとえば当時の雑誌に掲載された、三十歳のころのある日の食事。
「朝食はゆで卵二個、健康食品の店で買った全粒粉トーストひときれ、ホットミルクを入れた三杯か四杯のコーヒー。昼食にはカッテージ・チーズとフルーツ・サラダかヨーグルトと生野菜、夕食には肉と数種類の温野菜」
たとえば五十代半ばのころには、こんなふうに言っています。
「この年になるとあまりタンパク質はいらないので、おもに野菜を食べています。ワインは飲まないけれど、ディナーの前に少しスコッチはいただくわ」
特別なダイエットはしていないものの、ダンサーだったこともあり、食事への意識が高いことがわかります。
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