毎月12万円のパート収入でやりくりをし、「老前整理」としてのものを減らしながらシンプルに暮らす――。そんな日々を綴ったブログが人気となったショコラさんの著書『58歳から 日々を大切に小さく暮らす』(すばる舎)より、「慎ましくも工夫して楽しむ生活」のヒントを、連載形式でお届けします。
はじめに
60歳になった頃、ライフスタイルが変わり始めました。
今の時代まだ若いと言われる年齢でも、還暦という人生の節目を迎え、体力も気力も年々衰えていく。実際に病気などあるわけではないけれど、いつどうなるかわからない......。
そう思ったとき、何かあったら残された2人の息子たちに、片づけをさせることになる。
そのときなるべく迷惑をかけないように、今から日々の暮らしをシンプルにし、必要なものだけ残そうと、物の整理を始めました。
生前整理にはまだ早いけれど、老前整理です。
20年前、42歳で生まれて初めてのひとり暮らしは、1Kの小さなアパートから始まりました。家具は椅子1脚と衣装ケース3個、服やアルバム、身のまわりの雑貨程度。
掃除機も炊飯器もない、今で言うミニマリストのような生活。
必要最低限と思うベッドやテーブル、テレビ、冷蔵庫などを買い足しながら、5年後に今のマンションを購入しました。
元々インテリアが好きだったので、夢は広がり、家具や雑貨を揃えました。洋服も増え、クローゼットの中はギュウギュウに詰まった状態でした。
家具や服、本に食器や雑貨。一度にやろうと思わず、少しずつ気が向いたときに。2年近くかけて、今はちょうどいいと思う数のもので暮らしています。
ものを減らしていくと、ムダなものを買わなくなります。
何十年も節約のために続けてきた面倒な家計簿も、昨年でやめました。シンプルに暮らすことで、毎月の少ない予算でやりくりすることが身についてきました。
今は平凡なパートのおばちゃんの毎日。節約だけの味気ない生活ではなく、お金をかけずに楽しむ方法も工夫しながら。
何もなければ、まだ数十年ある老後。不安を抱えながらも、日々を大切に前向きに暮らしていれば、それが積み重なっていくはず......。
みなさまのこれからの暮らしに、少しでもお役に立てば嬉しく思います。
撮影/林ひろし
「老前整理」として物を整理しつつ、「シンプルで豊かな暮らし」が詰まった一冊です。