いろいろと気にしすぎていつも失敗ばかり...意外と多くの人が持つこの悩み、実は「自意識」が原因なんです!臨床件数約8万件の有名カウンセラー・大嶋信頼さんの著書『「気にしすぎてうまくいかない」がなくなる本』(あさ出版)から、過剰な自意識を抑え、人生をラクにしてくれる「無意識」の使い方を連載形式で紹介します。
無意識は寝ている間に大量の情報を処理している
みなさんは、眠りから覚める瞬間に、映画のフィルムの一つひとつのコマに全然違う場面が描かれているかのように、コンマ一秒単位で目の前の場面が次々と移り変わっていくことはないでしょうか?
私はあります。職場の人との会話、スケジュールの記憶、友人の笑顔、誰かとの会話、などの場面が目まぐるしく移り変わっていき「え~、頭ってこんなにたくさんの記憶をこんな短い瞬間で処理しているの!」とびっくりします。
完全に目が覚めた時は「やっぱり、一つのことしか考えられないよね」と元に戻っていますが、先のように時折、起きがけに頭の中の状態をのぞいてみると「すごいスピードで大量の情報を処理している!」というのを垣間見ることができるのです。
例えば、プレゼンの資料をまとめていて「う~ん? このプレゼンで大丈夫かな?」と不安になっていても「寝ている時に無意識の助けを借りれば大丈夫!」と思って、寝て起きてみると「お~、昨日の不安が消えている」となります。
これは大量の情報を無意識がちゃんと整理して、そのプレゼンの資料と結び付けてくれたから。
起きている時に、意識で処理できるデータには限界がありますが、寝ている時に無意識はものすごい大量のデータを短時間で処理してくれます。この時大事なのは、本当に大丈夫と思うことです。そうしなければ無意識は働いてくれません。
ダメだと思った時ほど無意識の力を借りよう
ある女性の話です。研究発表の前日の夜のこと。作成した資料について室長から「そこがダメ、あそこがダメ」とダメ出しをされ、「これから、それを直して練習するのはムリ!」となりました。資料を修正するだけでも時間がかかってしまうので「徹夜で練習をしようか?」と考えます。
しかし、その女性はそこで「無意識に任せちゃおう!」という大胆な行動に出たのです。研究の資料はこれまでも十分に作ってきた、その情報さえあれば「私の中で無意識がうまく情報を処理してくれるだろう」と思い切って寝てしまったのです。
そして、起きてから発表用の資料を見返してみると「おーっ、頭の中で流れがスムーズになっている!」と発表している自分の姿がちゃんと思い浮かんだそうです。
本心は「まあ、失敗してもいいか!」と思っていたそうですが、眠って無意識に情報の整理を任せたら、失敗どころかダメ出しをしていた室長からも褒められるぐらい、「今までで一番いいかも!」という発表ができたのです。
室長には「あれから練習大変だったでしょ!」とねぎらいの言葉までかけられ、「はい、たくさん練習したんだと思います」と笑って答えたそうです。なぜなら、無意識が夢の中でものすごい回数のシミュレーションをしてくれていたはずなんですから。
寝ているうちに無意識がプレゼンのやり方を教えてくれた?
また、ある男性は「会議での発表が苦手」とおっしゃっていました。社内でのプレゼン用の資料がいくらばっちりでも、実際の発表の場面では頭が真っ白になり、思うようにみんなに伝えられず、せっかくみんなに作ってもらった資料がムダになってしまうことが何度もあったそうです。
いつも「自分には発表は無理ですから」と断っているのですが、誰もプレゼンができないので毎回仕方なくやり、何度練習をしても「本番ではうまくできない」となっていたのです。
そこで、その男性は「無意識に任せて寝てしまう」という方法を試してみることにしました。実際に清水の舞台から飛び降りるような気持ちで「無意識に任せます」と唱え、プレゼンの資料を枕元に置いて寝てみたそうです。
すると不思議なことに、いつもだったら「ちっとも眠れなかった!」となるのが、「やばい、ぐっすり寝ちゃったかも!」という感じで熟睡でき、朝、目が覚めた時は、枕元に置いてあった資料を見返す気もなくなるくらい「もういいかな」という妙な感覚を覚えたと言います。
そしていよいよ本番です。いつもだったら、プレゼンの前はオドオドした感じでそのまま発表に臨むのですが、なぜかその日は、ビシバシ進められました。
しかも、いつもダラダラしていて「ちっとも真面目に聞いていないかもしれない」と思っていた聴衆が、「あれ?今日は真面目に頷いて、メモまで取っている!」ということにびっくりします。そして終わってみると「お~!」と拍手まで。
その男性はプレゼンって、こうやって強気な感じでやらなきゃダメなんだ!ということがわかって「無意識ってすごい!」と実感したと言っていました。 それも、寝ているうちに無意識が、会社のプレゼンで一番大切なことを男性にインプットしておいてくれたおかげなのです。
4章にわたり、人間関係や仕事などテーマごとに悩みを解決できる「無意識」の使い方が解説されています