目標は5歳児! 50代こそ目指したい「フロー」な生き方とは

知人の名前がどうしても出てこず「老化かな・・・」とへこむこと、ありますよね。そこで鍛えたいのが「思い出す力」。情報をただ「インプット」するのではなく、何度も思い出して「役立てる」ことで、情報が「知恵」に変わり、人生を充実させることができるんです。そんな話題の新刊『ど忘れをチャンスに変える思い出す力:記憶脳からアウトプット脳へ!』(茂木健一郎/河出書房新社)より、思い出す力を高めるための効果的な方法や、誰もがすぐにできるアクションを連載形式でお届けします。

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人生の課題に楽しんで取り組む

僕自身、現在50代ですが、永遠の5歳児として生きていこうと思っています。僕は、朝から晩までずっと「フロー」の中で生きています。

「フロー」は、アメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した概念で、一つひとつの「課題」に最高に集中した心理状態を指します。5歳児は、何をやっても新鮮で、夢中になって、飽きることがないので、フローの中で一日中生きていると言えます。

フローの中では、時間の経過を感じず、自分の存在を忘れていて、その課題と一体化していて、最大限に楽しんでいる。そういう状態が一日中続いているというのは、もちろん、一つのことだけをずっとやっているということではありません。

一つの課題に疲れてきたら、別の仕事に取りかかったり、走りに行ったり、人に会いに行ったり、何かを食べたりして、一日中どんな課題も、時間を忘れて楽しんでいるという意味です。

学校や仕事場での何か難しそうな課題だけを「課題」というのではなく、眠ること、食べることを含め、どうせやらなければならないことは、どんなことでも楽しんで有意義な時間にしようと、僕は心がけています。人生の中でやることのすべてが「課題」だとすれば、誰でも複数の課題を持っていると言うことができます。

テストに合格することも「課題」ですが、友だちや家族との時間を充実させることも、ご飯をおいしく食べることも、よく眠ることも「課題」で、一つの課題に飽きたら次の課題へと移ることで、切れ目なく常にフレッシュに楽しい時間を続けることができるのです。

そんな5歳児の暮らしを身につけた僕ですが、いわゆる「オジサン」時代がありました。型にはまっていた時代です。むしろ若いときがそうでした。大学生は大学生らしくしなければならない、博士号を取ったのだから、博士号を取った人らしくしていなければならない、と考えていました。

子どもの頃は、僕は蝶を追いかけ回していて、蝶の研究に没頭したり、本を読むことに没頭したり、とフローの中で生きていられたのですが、途中で大人たちの悪い影響を受けて、「らしさ」にとらわれるようになりました。東大に通っているということで、エリート主義になったり、どこかもったいぶったり、僕の脳が文脈に過剰適応してしまっていたのです。

若くしても「オジサン」のようになることはあるし、一度「オジサン」になってしまってもまた5歳児に戻ることができる。みなさんも、5歳児を目指してみませんか?

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思い出すカバー帯.jpg情報過多の現代に「思い出す力」を強化することで、クリエイティブになれる「新しい脳の使い方」を教えてくれる一冊。全6章の構成で、各章にはポイントやレッスンの「まとめ」がついた保存版です!

 

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)

1962年東京生まれ。脳科学者。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。2005年、『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞、2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞受賞。

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『記憶脳からアウトプット脳へ! ど忘れをチャンスに変える思い出す力』

(茂木健一郎/河出書房新社)

AI(人工知能)が本格的に普及していく現代において、「思い出す力」を強化することを解く話題の一冊。「思い出す」という行為が、過去をなつかしんだり、ノスタルジーに浸るためのものではなく、非常に創造的な行為であること。そして従来の「暗記・記憶=インプット」偏重の脳から「アウトプット脳」に変えることが、これからの時代を生きるために必要なことを明らかにしていきます。

※この記事は『記憶脳からアウトプット脳へ! ど忘れをチャンスに変える思い出す力』(茂木健一郎/河出書房新社)からの抜粋です。

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