「やせにくく太りやすい体」はこうしてできる! 筋トレは「太らない体」になるために避けては通れない

筋トレせずに食事を減らすと筋肉が細くなるワケ

世の中には「筋トレ」と言っただけで拒否反応を示す人も少なくありません。とくにあまり運動経験がない方の場合、筋トレというと反射的に「つらい」「苦しい」「私にはムリ」という言葉が浮かんでしまうようです。

しかし、そんなにハードな筋トレは必要ありません。ロジカルダイエットで勧めるのはスクワットや腹筋トレなどのなじみ深いメニューばかりですし、小学生でもクリアできるレベルですので、まったく心配は無用です。

それに、いくら筋トレをするのが嫌だとしても、健康にやせたいのであれば、筋肉をつける運動メニューは絶対に不可欠。もう肚(はら)を決めて、筋トレをするのは「避けては通れない道」だと思っておくほうがいいでしょう。

なぜ、そこまで言うのかというと、筋トレをしないまま食事制限を行なってしまうと、てきめんに筋肉が落ちてしまうからです。

みなさんご存じだと思いますが、食事量を減らすだけの無理なダイエットは結果的に成功しません。食事制限だけのダイエットを行なうと、最初はおもしろいように体重が減っていきますが、いずれ体重計の針が動かなくなります。その理由は、脂肪だけでなく筋肉が減ってしまったから。食事で十分な栄養が入ってこないと、筋肉はどんどん減っていってしまうものなのです。

そもそも、筋肉という組織は維持をしていくのにものすごくエネルギーが要るので、食事によって入ってくるエネルギーが少なくなると、体は「いちばんエネルギーを食うところ」を分解して排除しようとします。すなわち、筋肉組織が分解され、筋肉がみるみる細っていってしまうようになるのです。

こうして筋肉が細ってしまうのは、体のエネルギーを燃やすエンジンが小さくなったようなもの。筋肉というエンジンが縮小すると、体内のエネルギーを燃やす力も低下してしまい、日常生活の活動量も低下してエネルギー消費量が全体に落ち込んできます。それで、一向に体重が減らなくなってくるわけです。

やせにくく太りやすい体はこうしてつくられる

さらに、私たち人間にはこうした筋肉減少を本能的に「生命活動存続の危機」と感じている面があり、筋肉量が減り始めると「この危機を脱するために食べろ」という「体の声の大合唱」が始まります。たいていの人はこうした本能的な体の声に抗うことはできません。それで、「食べてないのに体重が落ちない」というストレスが限界に達したとき、一気にドカ食いをしてリバウンドしてしまうことになるわけです。

しかも、こうしたリバウンドを経験すると、筋肉量低下によって体力も活動量も下がっているため、ダイエット前よりもやせにくく太りやすい体になってしまいます。言わば、ダイエット前よりエンジンが小さくなった分、エネルギーを燃やしてやせようという力も縮小してしまうのですね。

ですから、食事制限のみの無謀なダイエットは絶対に行なってはいけないのです。

私は何度も食事制限のみのダイエットを行なってそのたびにリバウンドしているような人は、自分で自分の首を絞めているのと変わらないと思います。

筋肉量は中年以降1年に1%の割合で減り、70歳になると太ももの筋肉量が20歳時の半分になってしまうとされています。無謀なダイエットを行なって早くに筋肉量を減らしてしまえば、それだけ早く身体機能が衰えることになるでしょう。それがもとで、寝たきりや要介護になるのが早まり、寿命が縮まってしまうかもしれないのです。

決して筋肉量の減少を甘く見てはいけません。食事を減らして筋肉量を減らしてしまうことは、自分の心身に致命的というくらいの大きなダメージをもたらしていると知るべきでしょう。

では、筋肉量の減少を防ぐにはどうすればいいのかというと、食事制限だけではなく、筋トレを並行して行ない、筋肉量をキープしたり増やしたりしていくのが唯一の有効手段なのです。

 

清水忍

トレーニングジムIPFヘッドトレーナー。アメリカスポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP)、健康運動指導士。一九六七年、群馬県生まれ。大手フィットネスクラブ勤務後、スポーツトレーナー養成学校講師を経て独立。「なぜ」を追求するロジカルな指導で、メジャーリーガー・菊池雄星投手らプロアスリートのパーソナルトレーナーとして絶大な人気を誇る。ダイエット指導歴三十五年以上。NESTA JAPANエリアマネージャー、菊池投手考案の野球複合型施設「King of the Hill」アドバイザー。「Tarzan」監修など多くのメディアで活躍中。『ロジカル筋トレ』『超宅トレ』など著書・監修書多数。

※本記事は清水忍著の書籍『ロジカルダイエット 3か月で「勝手に痩せる体」になる』(幻冬舎)から一部抜粋・編集しました。
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